2015 Fiscal Year Annual Research Report
権威的法典籍を利用した外国法の継受・定着ないし変改の歴史像と現代への示唆
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23530001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 孝 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10241506)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 権威的法典籍 / ブラックストン / イングランド / 引用文献 / ラテン語 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに研究成果の一部として発表した資料論文が以下の3篇である。すなわち,「明治初期のブラックストン邦訳:星亨と石川彝」;ブラックストン『イングランド法釈義』第1巻分析;ブラックストン『イングランド法釈義』第1巻中の制定法と判例;(いずれも『法学(東北大学)』に掲載)である。 これを受け,今年度はさらに次に挙げる2篇の資料論文を執筆し発表した。 第一の「ブラックストン『イングランド法釈義』第1巻中の引用文献・資料」は,『釈義』第1巻が引用する全ての文献・資料を抽出し、ブラックストン独自の略語表記から、現代の読者が同定し検索することができる書誌情報にまで補充して一覧表化したものである。これは、ブラックストンの論拠を学問的に追求するため本来不可欠の基礎作業であり、上の「制定法一覧」「判例一覧」とともに、おそらく世界で初めての成果であると思われる。 第二の,「ブラックストン『イングランド法釈義』第1巻本文中のラテン文」は,『釈義』第1巻が収めるラテン文(clauses)の全てを抽出し,直訳し,その出典を特定して一覧表化したものである。長く英米において依拠された不完全な英訳からの重訳でなく,直訳したこと,またブラックストンが本文中にあえてラテン文を挿入したことの学問的意味を,その出典と照らし合わせることによって追求する手掛りになること,以上をこの成果の学問的意義として挙げることができる。 以上から,『イングランド法釈義』に対する多面的な調査を目指した本研究の研究課題を,十分とは言えぬまでもおおむね順調に実施したものと思われる。
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