2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530002
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
澤田 裕治 山形大学, 人文学部, 教授 (00261686)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中世史 / 史料学 / 古文書学 / トポグラフィー / 国際情報交換 / 都市法 / コモン・ロー / イギリス |
Research Abstract |
平成23年度は、研究初年度の第1フェーズとして、これまで収集した先行研究の文献レヴューを実施して、関連する分野のサーベイ資料の作成準備、現地調査及び現地専門家との意見交換を行なった。 まず、ロンドンのトポグラフィカルな研究に集中し、大英図書館、ロンドン大学歴史調査研究所及びロンドン市アーカイヴズを拠点として各種文献の収集を行なった。 また、これまで何度か現地を見てきたウェストミンスター地区ではなく、今回はロンドンのシティー地区の調査を重点的に精力的に実施し、とりわけロンドンの港としてテムズ川、ロンドン塔、セント・ポール、ミドル・テンプル等の行政機関、裁判所、監獄及び上級弁護士養成機関等の諸施設を訪問し、それらについて網羅的な施設目録を作成するための文献、地図及びパンフレット類のデータを収集することができた。 さらにまた、ロンドン大学のポール・ミッチェル教授、オックスフォード大学のポール・ブランド教授及びセント・アンドリューズ大学のジョン・ハドソン教授をそれぞれ訪問し、彼らを前にして本研究のプレゼンテーションを実施し、それに対する感想・意見を求め、本研究の問題意識及び分析手法等に関してディスカッションを行なった。その結果、中世都市ロンドンの法的空間構造に注目するトポグラフィカルな本研究の着想に対して高い評価を得るとともに、研究実施に伴う貴重なアドヴァイスを頂戴することができ、本研究実施の意義に自信を得た。残念ながら、ロンドン都市法がコモン・ローに対して果たした寄与の第1人者であるペニー・タッカーを訪問するには至らなかったが、メール・アドレスを知り得たのは収穫であった。 研究2年目の平成24年度は、施設目録と関係地図の作成を急ぎ、第2フェーズにつなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度の研究の所期の目的は、何よりもトポグラフィカルな研究に集中して、研究の基礎固めを図ることは果たし得たが、全体の研究計画から言えば、残念ながらやや遅れていると言わざるを得ない。とはいえ、以下の三つの点で研究の目的を達成することができた。 まず第一に、大英図書館、ロンドン大学歴史調査研究所及びロンドン市アーカイヴズを拠点として、貴重な文献を収集することができた。 第二に、従来、訪れたことのないシティーの諸施設を訪問し、それらについて網羅的な施設目録を作成するための文献、地図、パンフレット等のデータを収集することができた。 第三に、現地専門家の面前で本研究のプレゼンテーションを実施し、本研究の問題意識と分析手法等について好意的な感想・意見を得るとともに、貴重なアドヴァイスを得ることができた。 しかし、今年度の達成度に満足することなく、今後さらに研究のスピードアップを図る必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、まず何よりもサーベイ論文を執筆し、幾つかの個別的な司法組織・施設に集中して、そのデータ・ベース化を図りたい。また前年度の研究成果を踏まえて、その分析結果をまとめる作業に着手する。 研究会や学会での発表を通じて、批判を受けるととに、有益な研究成果の一部を研究者の相互利用に供し、情報の共有化を推進する。引き続き、史料の解読・分析作業を深化させ、データの蓄積を図る。施設目録と関係地図を完成させる。 また、海外出張により、第2回現地調査を実施して、ブランドとミッチェルを再度訪問し、さらに新たにタッカーとダラム大学のブルックス等の専門研究者を訪ね、現地イギリスの研究動向を摂取しつつ、前年度の成果をプレゼンテーションし、ディスカッションを通して、幾つかの個別的な司法組織・施設についての成果に関してアドヴァイスを得ながら現地調査を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、(1)物品費として20万円、(2)海外出張による第2回現地調査のための旅費として40万円、(3)人件費・謝金として10万円、(4)その他として7万円を使用する計画である。
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