2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530002
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
澤田 裕治 山形大学, 人文学部, 教授 (00261686)
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Keywords | 中世史 / 史料学 / 古文書学 / トポグラフィー / 国際情報交換 / 都市法 / コモン・ロー / イギリス |
Research Abstract |
平成24年度は、本研究の第2フェーズに着手した段階であるが、その研究実績としては、大きく以下の3点に要約することができる。第一に、シティー地区に所在し、法律専門職としての法曹身分の形成を担ったインズ・オヴ・コートの一つであるミドル・テンプルにつき、そのホールと図書館の現地調査を実施するとともに、今後についてアーキヴィストの協力が得られる目途が立ったこと。第二に、シティー地区について、その宗教的な信仰生活の中心をなし、また法学教育の基礎としても機能したセント・ポールの現地調査を実施し、その重要性を確認できたことがそれである。第三に、引き続き二人の現地専門家であるロンドン大学のポール・ミッチェル教授とオックスフォード大学のポール・ブランド教授を再訪した有益なアドヴァイスと示唆を得た。とりわけ、本研究につき両教授とディスカッションし、きわめて有益な示唆を得ることができ、それによって、これまでの研究の分析視角について若干の修正をする必要性に迫られた。この点は今後の研究をまとめていく際の導きの糸として今回の海外出張の最大の収穫であった。即ち、ロンドン都市法がコモン・ロー対して果たした寄与について考える際、国王裁判所がロンドンの都市法を借用する場合の担い手の主体性の問題がそれである。 いよいよ研究3年目の平成25年度は、研究の中間的な仕上げの年として、第3フェーズについては将来の研究課題として残し、本研究期間中に実施する研究実績としては、第2フェーズの研究に着手することが目標である。第2フェーズに着手し、それをできるだけ仕上げ、第3フェーズの前提となる実りある具体的な研究実績を挙げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究の所期の目的は、サーベイ論文等に基づき、いくつかの個別的な司法組織・施設に集中して、そのデータ・ベース化を図り、前年度の研究成果を踏まえて、その分析結果をまとめることであったが、全体の研究計画から言えば、やや遅れていると評さざるを得ない。とはいえ、以下の3つの点で研究の目的を達成することができた。 まず第一に、引き続き、大英図書館、ロンドン市アーカイヴズが研究の拠点として、貴重な史料を追加的に収集することができた。 第二に、ミドル・テンプルとセント・ポールについて初めて現地調査を実施することができた。とりわけ、ミドル・テンプルのホールと図書館の調査を実施するとともに、同図書館のアーキヴィストの協力が得られる目途をつけることができた。 第三に、本研究の特徴の一つをなす現地専門家とのディスカッションにより、現地イギリスの研究レヴェルと研究動向につき貴重な情報を得ることができた。その結果、本研究の研究視角に若干の修正を加え、その深化を図ることができる見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、まず何よりもサーベイ論文を執筆し、幾つかの個別的な司法組織・施設に集中して、そのデータ化を図りたい。またこれまでの研究成果を踏まえて、その分析結果をまとめる作業を促進したい。 引き続き、史料の解読・分析作業を深化させ、データの蓄積を図り、施設目録と関係地図を完成させる。 また、海外出張により、第3回現地調査を実施して、ミッチェルとブランドを三度訪問し、現地イギリスの研究動向等について情報を得ながら、さらにアドヴァイスを得ながら現地調査を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、(1)物品費として20万円、(2)海外出張による第3回現地調査のための旅費として45万円、(3)人件費、謝金として10万円、(4)その他として6万円を使用する予定である。
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