2014 Fiscal Year Annual Research Report
中世ドイツにおける城主支配領域から領国の地方行政組織への発展の研究
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23530007
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
櫻井 利夫 金沢大学, 法学系, 教授 (80170645)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | グルントヘルシャフト / シャテルニー / 城塞支配権 / フォークタイ / 高級裁判権 / バン領主権 |
Outline of Annual Research Achievements |
11-13世紀の時期のドイツ王国について、グルントヘルシャフトからシャテルニー(城塞支配権)への移行の具体的な過程を研究する目的を達成するために、ドイツの南東部地域の貴族ファルケンシュタイン伯の城塞ノイブルクNeuburgとその支配領域を具体的な検討対象とし、そのシャテルニーの成立の仕方と内実を、主にグルントヘルシャフト、裁判権を始めとする罰令権力の観点から、史料と文献に基づいて考察した。 このシャテルニーを構成する支配権的権利は、グルントヘルシャフト、フォークタイ権力(アイブリングAiblingのフォークタイ、ヴァイアルンWeyarn修道院に対するフォークタイ等)、フォークタイ所領に対する裁判権=フォークタイ裁判権(流血裁判権と贖罪裁判権の二元主義的性格をもつ)、ファルケンシュタイン伯の支配領域(史料上「ラント裁判区」(generale concilium)、「ラント」(provincia)、「グラーフシャフト」(cometia)等と呼ばれる)で行使される高級裁判権(流血裁判権と贖罪裁判権の二元主義的性格をもつ)、十分の一税徴収権である。特にフォークタイ権力、高級裁判権(ラント裁判権)はファルケンシュタイン伯のグルントヘルシャフトに服する村落を超えて押し及ぼされる権力、つまり優れて罰令権的な性格をもつ。したがって、伯がノイブルク城塞の周囲で行使した支配権はフランスの城主支配権と同質的なバン領主権、つまりシャテルニー権力であったと結論される。 伯の支配領域、グラーフシャフトはアムト(officium)とも呼ばれたが、その最高の行政役人(procurator)は従来のグルントヘルの役人たる荘司から種々の権限と任務を吸収して登場した役人である。かくして、領主館を中心とするかつてのグルントヘルシャフトから、城塞を中心とするシャテルニー制への発展が確認される。
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Research Products
(1 results)