2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530018
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
小柳 春一郎 獨協大学, 法学部, 教授 (00153685)
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Keywords | 土地境界 / 土地所有権 / 筆界 / 地籍 / 国土調査 / フランス / ナポレオン地籍 |
Research Abstract |
本年度において,境界確定訴訟法理及び地籍法理について研究の総括をした。 第1に,フランス地籍について,トゥールにおける県文書館調査で,ナポレオン地籍図の上にその後の修正を書き加えるなど地籍修正の在り方について解明した。結局,フランスの地籍は,占有状況をもとに現況優先で処理しているのであり,これに不満な土地所有者は,境界確定訴訟を提起する。 第2に,境界確定について,2009年以降の4判決が注目に値することを解明した。いずれも,所有権確認(revendication)訴権と境界確定(bornage)訴権は異なる,《境界確定訴権は所有権移転的効果はなく境界を明らかにするだけであるが,所有権確認訴権は所有権の存否を確定する。》という2元法理に関係している。具体的には,新しい法律関係の中でこの問題が問われた場合(欧州人権裁判所は蒸返しを財産権保障に反するとは考えない(欧州人権裁判所2012年1月4日判決14819/08)。蒸返しを防ぐ攻撃防御方法集中原則がフランス民事訴訟法の原理になったが,2元法理は維持される(破毀院2009年11月10日判決08-19.756)),伝統的な法律関係の中でこの問題が問われた場合(境界確定は登記なくして第三者に対抗できる(破毀院2013年4月9日判決12-13.516),所有物返還訴訟確定後も境界確定訴訟を提起できる(破毀院2012年1月31日判決11-14.491))があった。第1及び第2については,比較法学会(2014年6月)で発表する。 第3に,日本法については,『条解不動産登記法』(弘文堂)において,境界法理について全部の項目を担当,発表した。これにより,日本の境界確定法理について,筆界の不動性(不動産登記法123条)が,当事者の合意によっても境界を定められないことにつながり,現在でも大きな困難のもとになっていることを解明した。
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Research Products
(9 results)