2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530023
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
浅野 宜之 大阪大谷大学, 人間社会学部, 准教授 (50321097)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | インド / 司法 / 裁判外紛争処理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、インドにおける裁判外紛争処理手続きのひとつであるロク・アダラートの現状と問題点について明らかにすることである。インドでは、経済活動の活発化や訴訟の増加などにより、裁判外紛争処理手続きの重要性が見直されている。しかし、これについては十分に研究が進められているとはいえないことから、本研究の対象としてロク・アダラトを取り上げた。平成24年度は、裁判外紛争処理手続きに限らず、インドの司法制度全般について書籍を入手し、また、専門図書館での資料入手を通じて、インドにおける紛争処理制度についての基礎的研究を、文献調査を通じて実施した。これは、ロク・アダラートについて研究を進めるためには、インド司法全体について現状を把握することが必要であると考えたためである。同時に、平成24年度以降の現地調査実施をかんがみ、調査において必要な情報機器の整備、あるいはデータ収集作業に必要な情報処理環境の整備を行った。また、アジア法関係の学会や、日本貿易振興機構アジア経済研究所の研究会に参加したほか、インド人弁護士やインド最高裁裁判官との面談を行う中で、本研究に関わる意見交換や情報交流を積極的に行い、研究の方向性を明確にすることに努めた。なお、インド農村部に村法廷と呼ばれる紛争処理機関を設置することを定めた2008年村法廷法について、平成23年度まで研究を続けたが、その中でロク・アダラートとの比較の視点を入れ、ロク・アダラート研究との接合を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インドにおけるビザ政策の変更から、短期間に複数回訪問することが困難になり、そのため予定していた現地での聞き取り調査を実施することができなかった。そのため、研究の遂行は入手した資料にもとづく文献調査に重点を置かざるを得なかった。ただし、申請書において記述した通り平成23年度は文献調査を重視する予定であったこと、また、これにより平成24年度以降の研究実施に際して、その進め方の方向性が明確になったことから、今後の研究実施によって、当初の研究目的を達成することは十分に可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、平成23年度は現地における聞き取り調査を実施することができなかったため、当初調査のための旅費として見積もっていた額の研究費が次年度に繰り越される結果となった。今後は、これまでに文献調査や研究者との意見交換などから得た知見をもとに、インドでの聞き取り調査を実施し、ロク・アダラートの現状について把握する予定である。聞き取り調査は短期間に効率的に実施できるよう、訪問都市をしぼって実施する。現時点では、首都デリーのほか、地方都市としてバナーラス、また、ロク・アダラートが活発に開催されているケーララ州を訪問候補地とし、聞き取り計画を立てる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インドにおける聞き取り調査を、デリーおよびバナーラスまたはその他の地方都市において実施する。平成23年度に実施できなかった現地調査分の費用もまた平成24年度の聞き取り調査費用に充て、調査を実施する。また、収集したデータの整理等に必要な情報処理環境の整備で不足している部分について、平成24年度に作業を行うため、そのための費用として研究費を使用する。書籍等の資料については、すでに必要分は一定程度入手したため、これに当てる費用は限定的になるものと考える。
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Research Products
(3 results)