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2014 Fiscal Year Annual Research Report

東南アジアのイスラーム裁判制度:法曹の役割を中心に

Research Project

Project/Area Number 23530025
Research InstitutionInstitute of Developing Economies, Japan External Trade Organization

Principal Investigator

今泉 慎也  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 上席主任調査研究員 (80450485)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2015-03-31
Keywordsシャリーア裁判所 / 東南アジア / タイ
Outline of Annual Research Achievements

東南アジア諸国においては、自国民であるムスリムに公式法によってイスラーム法の適用を認め、その紛争処理機関としてシャリーア裁判所またはそれに準じた制度を設けられている。ムスリムが少数者であるタイ、フィリピンではシャリーアの適用はムスリム人口が多い地域にのみ認められる。シャリーアの適用を全国に拡大すべきという主張もあるが、実現していない。他方、イスラームを国教とする、マレーシア、ブルネイなどでは刑事分野へのシャリーアの適用を拡張する動きがみられる。各国はシャリーア裁判所裁判官について、試験制度を設けているが、本調査においては、通常の法曹資格も持つ者が散見された。たとえば、マレーシアのシャリーア裁判所のある裁判官は、もともと通常の弁護士として活動していたが、シャリーアを勉強し直して、裁判官となったという。一般に植民地化・近代化過程で導入された西欧法は各国の公式法の基本構造を作っており、シャリーア裁判所における手続の構造や用語等にもその影響が大きい。サンプル数は少なく一般化は難しいものの、通常の法曹資格・経験がシャリーア裁判官としての役割にも有益であり、今後そうした二つの法曹資格を持つ者が増えていくかもしれない。ただし、タイでは通常裁判官とシャリーア問題専門裁判官が峻別されており、特にタイ国内でシャリーアについての高等教育の機会が少ないことから、シャリーア裁判官のほぼ全員がヨルダンなど中東諸国の留学組である。一般に公的な機関を通じた紛争の法的解決の拡大は経済社会の変化を示す。経済発展と都市化が進む東南アジアにおいて、もしシャリーア裁判所の利用の拡大や機能の変化がみられとすれば、それは同様に経済社会の変化を示すものとなるかもしれない。今後のシャリーア裁判制度の動態は、東南アジア・イスラームの変化を測る一つのポイントとなるだろう。

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Published: 2016-06-01  

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