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2012 Fiscal Year Research-status Report

持続可能な環境管理法制における多元的構造の分析-日独比較研究を中心として

Research Project

Project/Area Number 23530046
Research InstitutionSeinan Gakuin University

Principal Investigator

勢一 智子  西南学院大学, 法学部, 教授 (00309866)

Keywords持続可能な発展 / EU環境法 / ドイツ循環経済法 / 環境不動産 / 地方自治・地方分権
Research Abstract

本研究は,環境法領域を素材とする比較法研究を通じて,持続可能な社会発展の一翼を担う環境法政策が,多様な主体により多層的法政策規範の下で形成・実施される「多元的構造」について,そのメカニズムと法的特色を明らかにすることを目的とする。
具体的には,社会経済システムの転換を伴う持続的環境管理を実現する環境法政策において,特徴的に見られる多元的構造に着目し,その法政策を決定する原理と要因,それを反映した法制度の設計,および制度運用における具体化手法とその機能を検討することにより,社会経済発展との両立を指向する現代的環境管理法制の法理と仕組みを抽出することを目指す。
研究年度2年目は,初年度に行ったドイツ法研究を深化させるためにEU法研究を実施した。持続的環境管理の要請は,近年,とりわけEU環境法のもとで個別法領域ごとに制度化が進行していることを重視して,ドイツにおける政策形成や制度設計への影響を明らかにする観点から,資源循環,エネルギー,化学物質管理の分野を中心として,EU指令の国内法移行に伴うドイツ法の変容について研究を進めた。
続いて,ドイツ法との比較研究に備えて,日本法の制度理論研究に着手した。環境基本計画,各部門計画,基本方針などの法政策指針,環境個別法の改正動向,中央環境審議会等における議論状況から,将来的社会像である「持続可能な社会」およびそのもとで提示された3つの社会像「循環型社会」・「低炭素社会」・「自然共生社会」に着目しながら政策理念とその背景要因を整理した。くわえて,環境配慮型の都市計画・都市開発,地方自治・地方分権をめぐる動向も参照して検討を進めた。現行法の制定背景を探るために立法資料,政策資料も調査対象とし,環境省および地方自治体の関連部局へのヒアリング調査も実施した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

EU制度理論研究については,体系書やコンメンタールなど主要な文献資料の調査・収集がほぼ予定通りに進めることができた。ドイツ国内法における対応動向については,法改正等にかかわる国内政治状況およびそれに起因する出版計画の遅れなどにより,一部の分野において個別法分野の調査に要する最新の体系書・コンメンタールが十分に入手できず,次年度以降に追加調査を実施する必要が生じている。また,現地調査でも日程調整の不調から一部は再調査を予定している。ただし,この点については,研究費を次年度に繰り越しており,次年度に計画している研究とあわせて,継続して調査を進める予定である。
以上のことから,研究全般としては,おおむね順調に進展していると評価できる。

Strategy for Future Research Activity

前年度までに行った制度理論面からの研究にくわえて,日本法の実態調査研究を実施する。環境施策は,多様な主体の参画により実施されている点に着目し,環境関連行政部局以外に,業界団体や市民団体,地域自治会も対象として実態調査を行う。くわえて,環境法がとりわけ地方レベルから形成されてきた沿革も重視して,先進的自治体を中心にアンケート調査や行政担当者へのヒアリング調査をあわせて実施し,実際の制度運用において持続的環境管理の要請がどのように具体化されているかを検証したい。レアメタルのリサイクルを目的とする小型家電の回収システムの構築に向けた取り組みなど,新たな制度設計事例についても積極的に取り上げたい。
以上の成果を踏まえた上で,日独比較研究を行う。学術文献による比較研究にくわえ,ドイツの行政担当者や研究者へのインタビューを実施することにより,両国の共通点・相違点を明らかにしたい。それを通じて,日本の環境行政法の特色と課題を検討したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

日本法の実態調査研究のために,政策資料・行政資料の入手に必要な費用,現地調査のための旅費等の支出を予定している。また,日独比較研究のために,ドイツおよび日本の行政法・環境法・地方自治の新刊書籍等の購入の他,環境関連行政部局へのヒアリング調査の費用にも支出する予定である。また,ドイツにおいて行政法研究および環境法研究に携わる現地の研究者との意見交換を目的とする渡航も計画している。
前年度からの繰り越し分については,引き続き,ドイツ事例研究のための体系書・コンメンタールの購入,実態調査費用に充当する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (5 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] ドイツの循環経済法の最新動向について2013

    • Author(s)
      勢一智子
    • Journal Title

      平成24年度諸外国における環境法制に共通的に存在する基本問題の収集分析業務報告書

      Volume: Part2 Pages: 91-102

  • [Journal Article] 持続可能な社会の構築に向けた環境規制法の展望2013

    • Author(s)
      勢一智子
    • Journal Title

      化学物質と環境

      Volume: 118号 Pages: 13-15

  • [Journal Article] 不動産開発における環境規制の構造変化-グリーンシティに向けた規制と誘導2012

    • Author(s)
      勢一智子
    • Journal Title

      日本不動産学会誌

      Volume: 26巻3号 Pages: 52-57

  • [Journal Article] 公共サービスの変容と自治体の役割-地域公共サービスの「カタチ」2012

    • Author(s)
      勢一智子
    • Journal Title

      月刊地方自治

      Volume: 780号 Pages: 28-36

  • [Journal Article] 場外車券発売施設設置許可と第三者の原告適格2012

    • Author(s)
      勢一智子
    • Journal Title

      行政判例百選II(第6版)

      Volume: 別冊ジュリスト212号 Pages: 368-369

  • [Presentation] ドイツ循環経済法の最新動向について

    • Author(s)
      勢一智子
    • Organizer
      平成24年度諸外国における環境法制に共通的に存在する基本問題検討会
    • Place of Presentation
      (社)商事法務研究会

URL: 

Published: 2014-07-24  

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