2011 Fiscal Year Research-status Report
EU国際私法における不法行為準拠法決定過程の事例分析
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23530051
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐野 寛 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40135281)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | EU / 国際私法 / 渉外不法行為 / 準拠法 / ローマII規則 |
Research Abstract |
本研究は、国際私法における不法行為準拠法の決定について、2009年1月から適用されることになったEUの統一法であるローマII規則の具体的な適用を、EU裁判所および主要なEU諸国の国内裁判所の判決を分析することによって、明らかにすることを目的としている。ローマII規則の具体的な適用を分析するにあたっては、わが国の国際私法である「法の適用に関する通則法」との比較という観点から、とくに例外規定の適用、予見可能性条項の実際の運用、製造物責任、知的財産権侵害などの個別的な不法行為類型に関する規定の適用について検討を行うことが重要である。平成23年度は、本研究を進めるための基礎作業として、ローマII規則に関する文献およびEU裁判所の裁判例の収集を行い、その分析に着手した。その成果の一部は、櫻田嘉章=道垣内正人編『注釈国際私法第1巻』において公表した。また、平成24年度に実施を予定しているハンブルクのマックス・プランク外国私法・国際私法研究所における調査のため、同研究所のバウム教授とコンタクトを取り、調査実施の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は研究の初年度として、資料の収集とその分析の着手を予定しており、現在のところ、ほぼ順調に準備は進んでいる。平成24年度のヨーロッパに滞在しての調査についても、マックス・プランク研究所への受け入れ、その協力の同意を得ることができ、本格的な実施が可能な体制をとることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、次のように研究を実施する。1)前年度に引き続き、裁判例の収集およびローマII規則の適用に関する情報の収集を文献、判例集、データベースなどを利用して行う。2)ローマII規則の具体的な適用とその評価について、ハンブルクのマックス・プランク研究所において調査を実施する。同研究所には、ドイツ国内だけでなく、世界中から国際私法の専門家が調査に訪れており、それらの研究者との情報交換により、ローマII規則の評価と課題を明らかにする。3)収集した裁判例の本格的な分析作業を行い、その内容については、国内の国際私法に関する研究会で発表を行うことで、研究の方向性および内容について中間的な評価を得る。平成25年度は、本研究の最終年度であり、これまでの研究で得られた裁判例の分析を通じて、ローマII規則の具体的な適用を明らかにし、それらを学会や研究会で報告するとともに、収集した裁判例を整理し、HPを通じて公開し、一般の利用に供する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は助成金の支給が分割されたこともあり、海外での実地調査を平成24年度に一部移したため、平成23年度配分の助成金のうち10万円を24年度に繰り越すことにした。平成24年度の研究費の使用計画は以下のとおりである。(1)物品費:ローマII規則関係の図書、判例、消耗品 計50万円、(2)旅費:外国旅費(岡山ーハンブルク 2回)35万円 国内旅費(岡山ー東京 3回)15万円 計50万円 (3)人件費・謝金 資料整理のための謝金 5万円 (4)その他(複写費など)5万円 総計100万円
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