2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530054
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
最上 敏樹 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70138155)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際公法 |
Research Abstract |
初年度は当初の予定通り、最重要関連文献の体系的収集およびその分析を順調に進めた。研究の完成に大きく関わると思われる基底文献は、主たる一部として以下のものがある。Jan Klabbers, Anne Peters, et al, The Constitutionalization of International Law (Oxford U.P., 2009)、Nicholas Tsagourias (ed), Transnational Constitutionalism (Cambridge U.P., 2007)、R. St. John Macdonald et al (eds.), Towards World Constitutionalism (martinus Nijhoff, 2005)、Bardo Fassbender, The United Nations Charter as the Constitution of the International Community (Martinus Nijhoff, 20109、Christine Schwöbel, Global Constitutionalism in International Legal Perpective (Martinus Nijhoff, 2011)、Antonios Tzanakopoulos, Disobeying the Secuirty Council (Oxford U.P., 2011)この間、海外で開催の学会にも積極的に出席して(2011年8月、アジア国際法学会大会=於・北京=、2012年3月、米国国際法学会=於・ワシントン市)、各国研究者と有意義な意見交換および共同作業を行った。後述の通り、折に触れて学会報告および論文執筆も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記載のとおり、理論的研究としての土台固めは着実に進行している。「国際法の哲学的基盤」というテーマを必要以上に思弁哲学に傾けることなく、また国際法から離れて法哲学に飛躍せぬように注意すると、主として力点を置くべきは国際立憲主義(international constitutionalism, global constitutionalism, transnational constitutionalism)になるであろうとの見通しも立ち始め、理論化の構想も次第に固まりつつある。特にこの間、自らの文献分析努力に加えて、種々の機会に各国の研究者と意見交換できたことの意味は大きい。とりわけ、基底文献の一つの著者であるAnne Peters教授との研究上の親交を持つことができ、研究方向を同じくする者同士として情報交換や相互批判をできるようになっただけでなく、2012年6月には国際学会での共同作業を予定している。研究成果をもう少し活字化できれば望ましかったが、この種の研究は短期間に次々と成果を出すというよりは、土台作りをし熟成させた上で成果をあげる種類の研究なので、次年度以降に課題を残したい。
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Strategy for Future Research Activity |
他国の理論研究の多様性の把握はなおも必要であり、文献の解読および国際法上のプラクティスの確認を更に継続する。その際、国際立憲主義を中軸としつつ、それと均衡を取る哲学的基盤がほかにないかをも探る。国際立憲主義についてはすでに多少の論文を発表および執筆しつつあるが、それ以外の法理論についても必要ならば専門的な執筆をおこなう予定である。とりわけ、英語等外国語での執筆および研究発表にこれまで以上に力を入れ、この普遍的なテーマを普遍的な場で鍛錬し、洗練することを志している。平成24年度内には本研究の主たる成果となる研究書の具体的内容を決定し、最終年度の平成25年度には執筆して翌年度には刊行できるよう、作業を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度同様に、海外での学会出席ならびに研究調査をしばしば行うため、研究費のかなりの部分が海外出張旅費に充てられる。海外研究者との交流のもたらすものの大きさを考えるならば、これはきわめて有効な用途であることを年ごとに痛感している。他には主として、これも初年度の継続であるが、書籍購入費が大きな割合を占める。書籍に関してはとりわけ洋書の価格高騰が著しく、購入も圧迫されつつあるので、厳選して有効活用を心がけたい。他には、ラップトップその他、持ち運び型のPCも、現在のものが耐用年限に近づきつつあるため、遠からず新規購入する予定である。その他、それに関連するパソコン周辺機器、ソフトウェアなど。他には、文具関係の大学からの支給がないので、それらの経費や、コピーほかの資料印刷費などに一定の割合を支出する。更に、国内および他国研究者との交流が増すに連れ、単なる交流と片づけずに、研究上の助力を仰いだとして相応の謝礼を払うべき場合も増えているので、そうした支出も適正な範囲で行いたい。
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