2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530054
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
最上 敏樹 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70138155)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
第2年度に入り、収集文献および資料の精査と分析が加速度的に進みつつある。とりわけ、国際立憲主義に関連する理論構築において大きな成果を上げた。文献的には、昨年度実績報告に掲げたもののほか、Erika de Wet, The Chapter VII Powers of the United Nations Security Council (Hart Publishing, 2004), Antonios Tzanakopoulos, Disobeying the Security Council: Countermeasures against WrongfulSanctions (Oxford U.P., 2011), Jeffrey Dunoff et. al., Ruling the World: Constitutionalism, International Law, and Global Governance (cambridge U.P., 2009), Nico Krisch, Beyond Constitutionalism: The Pluralist Structure of Postnational Law (Oxford U.P., 2010) などをとりわけ精査の対象とし、加えて膨大な数の雑誌論文を検討して、この面の進捗は計画以上に順調に進んでいる。 この間、2012年4月には国際法教会日本支部において学会報告を行い、同6月にはアジア国際法学会日本協会研究大会において国際立憲主義セッションでモデレータを務め、活発な議論を引き出した。また、9月にはスペインで開催されたヨーロッパ国際法学会に出席し、関連研究者たちと意見交換し、今後の研究の深化につなげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄にも記したように、文献資料面の進展および、他国研究者との国際交流が、非常に順調に進展している。とりわけ、成果を順次学会報告等で公表し始めたほか、国内外の研究者と意見交換等の交流を大幅に進めることができた。今年度は更に、国際的な共同研究プロジェクトの立ち上げにも着手したく、そのための基盤は概成しつつある。この間、わが国において国際立憲主義研究をかなり根付かせることにも成功したと言ってよい。 研究成果の部分刊行は、当該欄にも記載の通り、英語でも実施し始めた。そうせずには本研究の成果を海外で評価してもらえぬためであり、実際に、刊行後、海外からの反応も得られるようになり、これが今後の研究進展に大きく資することは明らかである。日本においては国際法の哲学的基盤の研究が皆無であるとか、とくに国際立憲主義研究はヨーロッパの研究者の独壇場であるといった認識を、根本から改めることができると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
内容的には昨年度までの方針を堅持し、それを更に深めるよう努める。 同時に、最終年たる今年度は、成果をいかにしてまとめるかの具体案の作成に入らねばならない。成果の刊行に向けて構想を固め、それを国内外の研究者に提示して意見を頂戴し、研究内容の豊穣化に役立てたい。そのために今年度は、これまでにも増して海外に研究交流のために出張し、情報の収集、意見交換、助言要請に努める予定である。 内容的には、まずは国際立憲主義を根底にすえ、加えて国際正義と国際規範の関連について、とくに国際法医置ける強行規範(ユース・コーゲンス)ならびに対世的義務(エルガ・オムネスな義務)等の論点に着いての議論も深める所存である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
過去2年同様、海外での学会出席ならびに研究調査をしばしば行うため、研究費のかなりの部分を海外出張費に当てることになろう。 用品関係では、この研究の急激な進展に伴ってパソコンの活用が極めて激しく、パソコンおよび周辺機器、並びにソフトウエア等々も、必要な新機種を張多雨する必要が頻繁に起きる。それにも相当額を振り向ける予定である。 書籍関係もなお一層の充実が必要であり、電子書籍も含めて、これまで同様の(あるいはそれ以上の)購入額になるものと想定している。 また、研究交流ならびに資料整理等の作業の大幅な増加に伴い、謝礼等の人件費も増大することが予想されるが、そちらにも研究費を有効活用したい。
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