2011 Fiscal Year Research-status Report
非国際的武力紛争概念の「再定義」と規制規則の複合化に関する研究
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23530055
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
新井 京 同志社大学, 法学部, 教授 (10319436)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国際人道法 / 非国際的武力紛争 / テロとの戦争 / 武力紛争法 |
Research Abstract |
この研究課題の全体的な目的は、非国際的武力紛争(NIAC)の概念が、単なる内戦を越えて国家対非国家主体の間で生じるすべての武力衝突を包含するものへと拡大していると言われるところ、そのようなNIAC概念再定義の妥当性と広がり、適用される国際人道法規則の意義の変化、それにより複雑化する適用法規の関係性を検討することにより、紛争犠牲者保護のより適切な法的枠組みを提示することである。 23年度は、「非国際的武力紛争概念の再定義の当否とその拡大可能性に関する研究」を行った。「国際的性質を有しない」武力紛争として諸条約に言及されているNIACに含まれうるものは何かについて、当該条約の起草過程および国家実行・判例などを素材にして研究を進めた。その結果、なかば予想されていたことではあるが、起草過程においてNIACの定義に関して問題になっているのは、国際人道法が適用され始める武力紛争の烈しさの程度(下の敷居)の問題と、NIACと国際的武力紛争の区別(上の敷居)の問題が中心であって、武力紛争が「国際的性質を有しない」ことが何を意味するのかについては、あまり明確な答えをえることができなかった。ただし、国境を越える非国家主体との武力紛争がNIACには含まれないとの証左も見出せないことも重要であろう。引き続き24年度には、武力紛争の定義に関する問題を、24年度に予定していた課題である「NIACに適用される国際人道法の存在意義」に関する研究と関連づけて考えて行きたい。 なお、23年度の研究成果の一部を、23年11月に京都で開かれた国際人道法にかかわる国際会議でのプレゼンテーションに反映することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度末に私的な事情で研究が予定通り進まない状況があったが、平成24年度に当該年度の当初予定していた研究と融合させる形で積み残した課題に対処する。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度以降、各年度に配分した研究課題の整理・合理化をはかって、当初予定の研究が全体として完遂できるように努力したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度に開催される学会・研究会などの研究交流の場での意見交換や情報収集のため旅費として、また出版が遅れた書籍の購入に関わる物品費として執行したい。
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Research Products
(1 results)