2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530068
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
橋本 陽子 学習院大学, 法学部, 教授 (00292805)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 労働者概念 / 労働契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、労働法の適用される労働者と適用されない自営業者(事業者)の中間に位置づけられ、一部の国で労働法の一部が適用される「準労働者」の概念について、これまでの研究を進めた。かかる「準労働者」はドイツでは「労働者類似の者」と呼ばれており、1927年の労働裁判所法によって初めて実定法上の概念として用いられるようになったが、「労働者類似の者」の概念の生成経緯について、ドイツ営業法および家内労働法の制定・改正経緯を調べることで、明らかにすることを試みた。本研究の結果は、「ドイツ労働法における『就労者(Beschaeftigte)』および『労働者類似の者』の概念についてーとくに家内労働者に着目してー」山田省三ほか編『毛塚勝利先生古稀記念・労働法理論変革への模索』303-323頁(2015年、信山社)に公表した。 また、日本では、ドイツと異なり、かかる労働者と自営業者の中間概念は実定法上の概念として確立していないが、ドイツの「労働者類似の者」の原型となった家内労働者については、ドイツと同様に特別法が存在する。そのため、日本でも、家内労働者をその他の職業にも広げ、一般化する形で「準労働者」概念を構築する意義があるか否かについて、検討を行い、消極的な見解を示した。この研究は、「『労働者』と『準労働者』-労働者概念の総論として」野川忍ほか編『変貌する雇用・就労モデルと労働法の課題』99-130頁(2015年、商事法務)に公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、予定していた労働者と自営業者の中間概念の検討を行い、論文を公表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、5年間に及ぶ本研究課題の最終年度である。残された課題である契約類型との関係およびその他の法分野における労働者概念の検討を進め、1.労働者概念の統一性(単一性)または相対性および2.労働者概念の判断基準のあり方について、試論を提示できるように研究を進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
前年度未使用額の繰り越しもあり、平成26年度は順調に研究を進め、書籍の購入および資料収集のため費用を支出したが、残額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は本研究の最終年度であるので、計画的に研究費を使用できるように留意したい。ドイツへの資料収集のための旅費およびドイツ労働法の書籍の購入を主な支出として予定している。
|