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2013 Fiscal Year Annual Research Report

保安処分論の総合的検討 -保安処分の多様化と被害者保護-

Research Project

Project/Area Number 23530079
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

井上 宜裕  九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70365005)

Keywords保安処分 / 刑罰 / 犯罪被害者
Research Abstract

フランスをはじめとする欧州諸国では、近時、被害者保護を1つの根拠として、移動型電子監視や保安監置といった、さまざまな保安処分ないし保安的措置が立法的に導入されてきた。しかしながら、実際上、これらの措置が実効的に被害者保護を担っているという実態は依然確認されえない。
移動型電子監視については、当初の導入時には、同措置のもちうる、再被害の防止や潜在的被害者の保護の点が強調されたが、その後は、同措置の人権制約的・侵害的側面が指摘されている。他方で、移動型電子監視は、ハード面、ソフト面の双方で、実施を困難にするような問題を抱えている。まず、移動型電子監視の実施状況は、地域によって大きく異なる。移動型電子監視に必要な施設の整備、要員の確保が特に地方ではネックとなっている。また、移動型電子監視は、社会内処遇の1つのヴァリエーションである以上、その前提として、環境調整等が重要な位置を占めるが、保安処分として実施される移動型電子監視の対象となるのは比較的重大な犯罪であり、環境調整が困難を極め、この点も、同措置の積極的活用を妨げる一要因となっている。保安監置については、よりいっそう、その人権侵害的側面が問題視され、同制度自体、見直しを迫られているといえる。
2013年度に至っても、移動型電子監視及び保安監置の実施状況は非常に低調で、同制度を導入した立法者意思と実務の間の溝は依然埋まっていないのが現状である。犯罪被害者保護を加害者に対する措置で図ることにはやはり限界がある。今後は、再犯予防の観点から改めて保安処分ないし保安的措置を検証する必要があろう。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014 2013

All Journal Article (4 results)

  • [Journal Article] フランスにおける弁識能力と年齢2014

    • Author(s)
      井上宜裕
    • Journal Title

      自由と安全の刑事法学-生田勝義先生古稀祝賀記念論文集

      Volume: - Pages: 未定

  • [Journal Article] ロランス・ルチュルミ著「少年刑法:教育的制裁における新たな混同」(外国文献紹介)2014

    • Author(s)
      井上宜裕
    • Journal Title

      法政研究

      Volume: 81 Pages: 未定

  • [Journal Article] フランスにおける社会的反作用をめぐる近時の動向2013

    • Author(s)
      井上宜裕
    • Journal Title

      刑法雑誌

      Volume: 53 Pages: 23-33

  • [Journal Article] ロランス・ルチュルミ著「一九四五年二月二日のオルドナンス第二条によって表明された指導原理の崩壊」(外国文献紹介)2013

    • Author(s)
      井上宜裕
    • Journal Title

      法政研究

      Volume: 80 Pages: 385-397

URL: 

Published: 2015-05-28  

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