2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530093
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 克典 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30283055)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 社債 |
Research Abstract |
考察の対象となる会社債権者として、社債権者と、会社に貸付債権を有する社債管理者とを採り上げた。社債権者は、会社法が明示的に規整の対象とする債権者である。一方、社債管理者それ自体は、会社法が明示的に規整する対象であるが、必ずしも、会社の債権者であるとは限らない。しかし、会社法は、社債管理者が会社の債権者である場合を前提にした規定をおいており、貸付債権者でもある社債管理者は、会社法が規整の対象とする債権者であるといえる。 社債管理者が自己の債権を回収し、社債権者に損害が生じた場合には、社債管理者は社債権者に対して責任を負うが、その責任の内容については、従来より争いがある。その責任の内容について、損害の意義、社債管理者の義務等から分析することとした。 損害ないし責任の意義に関する各学説について整理をした。大別すると、責任の内容を損害賠償義務により理解する学説と、責任の内容を貸付債権に基づいて回収した金額の按分義務とする学説とがある。さらに、後者の学説は、貸付債権にかかる債務の弁済を有効とする学説と無効とする学説とに区別される。 しかし、一部の学説は、倒産法との関係から、すなわち、一般債権者との関係から、採用し難いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的として、会社の規整を通じた会社債権者間の利害調整について、その法規構造等を明らかにすることをあげている。現在、社債権者と債権者である社債管理者とを採り上げて、両者の関係について研究を進めている。そこで、両者間の利害調整をする会社法の規整を分析している。 また、この研究の目的のために、会社の規整の態様、機能、問題等の法的分析をすることとしているが、社債管理者の規整の態様、機能についての、一定の分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
社債管理者の損害ないし責任の意義についての整理を基礎にして、社債管理者の義務の内容について分析をする。これによって、利害対立がある場合の社債管理者の具体的な義務を考察する。また、社債管理者は、通常は銀行であるから、社債管理者の義務と本業としての貸付けの回収の業務との間の関係についても検討をする。 その上で、債権者である社債管理者の規整が、社債管理者、社債権者、その他の一般債権者にとって、適切であるか、さらに、危機時期における会社にとって、適切であるかについて、検討を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、第一に、会社法の資料・倒産法の資料・銀行関連法の資料等の収集の費用に使用する。 第二にする資料整理のための謝金、および、とくにネットを利用して情報を収集するための謝金に使用する。 第三に、他の研究者との意見交換の旅費、および、情報収集、とくに倒産法関係の研究者から情報収集のための旅費に使用する。
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