2013 Fiscal Year Research-status Report
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23530100
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松川 正毅 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (80190429)
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Keywords | フランス法 / 相続法 / 財産管理 / 遺産分割と清算 / 遺言と清算 / 生前の財産管理 |
Research Abstract |
第一に、フランス法における、被相続人の意思による、いわゆる遺産の清算について、理論面をパリ大学のグリマルディ教授、ビシュロン教授から情報を得た。実務的な観点からは、トゥールーズ大学の公証法のガルー教授から情報を得た。このような研究の機会を持つことによって、包括承継の国の法制度の中で、いかに清算的な機能を生み出しているか、理論的探究が進んだ。 第二に、この研究と並行して、相続財産の清算的な観点から財産管理者を考察を始めている。「生前における財産管理」と「死後における財産管理」の一連性について、分析を始めた。 第三に、主として第一の研究を題材にして、フランス法の法理論面の特質とその利点等について、わが国の民法と比較検討した。 人の財産管理に関して、その人の一生を取り巻く綜財産(総財産)を、法理論では考慮に入れており、その人のもとから、出入りのあった財産も最終的には、組み入れて一体化した財産を念頭においている点が次第に明らかになってきた。相続の観点からは、もしも相続人に対して贈与等がなされた場合には、一体的な財産を想定しているので、すべての機能が遺産分割へ集中されていき、機能的に財産の移転が実現していることが理解できた。遺産の分割に関して、紛争の少ない法制度であるので、最終年度ではさらに、この点を深める所存である。 また、財産の一体化を想定できるということは、遺産共有財産の清算が問題になるような場合、つまり、遺産分割に至までに、清算する理論的な可能性を示すことになっている。この点に関しては、興味深い。負債が当然に承継されても、共有状態のプラス財産と清算し、プラスのみにして、遺産分割を進めていくことが理論的に可能になっている。このような研究をもとにして、「相続における債務の清算と遺言」と題して論文にまとめ、日本法への示唆を示すことを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究テーマに関する論文を公にすることができた。最終年度にむけての基礎的な視点を示す研究成果が得られたと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、財産管理という観点から、人の財産の総体をどのように考えていくか分析を完了させて論文を作成する予定である。また、平成26年10月開催予定の日本私法学会シンポジウムで、共同相続人間での遺留分減殺請求と題して、報告する予定である。ここで、財産の総体理論を示してみたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出張旅費として利用するには不足があり、最終年度での情報収集の必要性を鑑み、次年度に繰り越して、旅費として使用したいと考えた。 出張旅費として使用する予定である。
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