2012 Fiscal Year Research-status Report
小規模事業の促進に向けたビジネスストラクチャーの法制に関する研究
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23530102
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松原 正至 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (10252892)
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Keywords | LLC / LP / LLP / 会社法 / 有限責任事業組合 / 合同会社 |
Research Abstract |
平成24年度においては、平成23年度の研究により得られたわが国のビジネスストラクチャーの制度・実態に関する研究成果を踏まえ、主として英国の制度を比較対象として調査・研究を行った。英国における実地調査では、Company Houseでの情報開示と運用のあり方を調査するとともに、London School of Economics (LSE)において文献の調査・収集等を行った。この調査により、わが国のデータベースには掲載されていない貴重な文献を収集することができた。 英国では米国とは異なり、LLCではなくLPあるいはLLPの利用が盛んではあるが、その利用方法としては、公認会計士や弁護士、あるいはファンドなどの専門家集団による組織運営として用いられており、株式会社のような多様な用いられ方はしていないことが確認された。また、LPの活用方法が探られている状況にもあり、米国の影響を受けてLLCの利用も考えられている。これらの調査結果、ならびに収集した資料に基づき、研究を進めており、平成25年度中に公表する予定である。 また、米国についてはAuriga Capital Corporation v. Gatz Properties, LLC, 40 A.3d 839 (Del. Ch. 2012), aff'd 2012 WL 5425227 (Del. Supr.)について研究を行い、LLC契約に適用される任意規定としての信認義務の位置づけについてデラウェア州衡平法裁判所と最高裁判所の考え方について違いがあることが理解できた。本件については、平成24年8月の神戸大学商事法研究会箱根合宿において報告し、その内容を公表することにしているが、出版社の都合により平成25年6月に公表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LLCやLP、LLPなどのビジネスストラクチャーについて、平成23年度におけるわが国および米国法制の研究を継続すること、ならびに平成24年度における英国の調査・資料や文献収集により、次のような研究を行った。 ①わが国の持分会社法制について研究し、成果を平成24年11月13日の広島大学公開講座にて発表した。 ②米国についてはLLCのメンバー間の信認義務につき、重要な判例を検討し、神戸大学商事法研究会にて発表した。これについては平成25年6月に公表する予定である。 ③英国については収集した資料を特に情報の開示という側面とメンバー間の責任分担としいう側面から鋭意分析中である。 このように、研究については当初の研究計画通り、おおむね順調に進展しているが、特に③については平成25年度における集中講義等で成果公表を予定しているため、現在よりもより効率的に作業を進めることを考えている。また、研究実施計画に記載したデータベースの作成については項目の分類を多様化しなければならないことが研究を通じて理解できたことと、現在までのデータ数が少ないこともあり、平成25年度において作業を急ぐ予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度までの研究の集大成として、成果を公表する予定である。研究の推進方策としては、従来通り、文献を中心にして研究を進める。具体的には、わが国の法制については平成25年度の集中講義にて、また、米国の判例については神戸大学商事法研究会の報告にて公表することになっているため、それぞれ研究を継続する。平成24年度の英国での調査等については平成25年度に紀要に掲載する方向で研究を進めることとする。それらをすべてまとめて、データベースを早期に作成することも予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度については洋書の為替レートの変動等による価格の変動のため若干の残額が生じたが、平成25年度についてはこの残高とあわせて研究費を使用することとし、研究実施計画に沿って、主として文献の収集と研究内容の公表のための費用(旅費等)に使用する予定である。
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