2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530103
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木下 正俊 広島大学, 法務研究科, 教授 (30379903)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 金融の効率化と安定化 / 金融の高度化と融合化 / 護送船団方式 / 金融自由化・国際化 / 日本版ビッグバン / 平成金融危機 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の「研究実施計画」に比し1年遅れとなったものの、研究自体は特段の支障もなく進捗、平成26年度をもって完成し、成果物を『わが国の金融システム改革と法制整備』と題する書物として刊行した(平成27年4月1日、広島大学出版会)。 本研究は、わが国の金融システム改革を、金融の効率化と安定化の二次元の軸に金融の高度化と融合化の要素を加味することにより立体的に捉えたうえで、改革を実現するための法的インフラ整備の取組みを立法措置のみならず判例法理の形成を含めて検証し、評価しようというものである。 このような問題意識をもとに、わが国の金融システム改革の歴史を辿ると、戦中・戦後に形成された金融制度が1970年代央の第1次オイルショックや80年代後半のバブル経済と90年代初のその崩壊などの実体経済の激変に伴い、根底からの変容を迫られてきた大きな流れがあり、その中での近年の特徴的な出来事として、90年代後半以降の「日本版ビッグバン」と「平成金融危機」への対応がある。前者は、バブル崩壊により失墜した金融機能の抜本的な再生を図ろうとするものであり、金融の効率化・高度化・融合化を目指した大改革と捉えられる。また、後者は、バブル崩壊の負の遺産である不良債権問題およびその結果深刻化した金融機関経営破綻の処理と再発防止に向けた金融の安定化を目指した改革と捉えられる。そして、これらの改革に共通するのは、戦後金融の象徴である「護送船団方式」からの脱却であり、改革実現のための法的インフラの整備が行われてきた。 上記のテーマについて、各計画年度ごとに研究成果を積み上げてきたが、平成26年度は、これらをもとに、その内容を最新時点で見直しつつ研究全体を構成するとともに、全体を概観する部分を作成した(概観部分は「わが国の金融システム改革と法制整備の概観」として、広島法科大学院論集11号に掲載した)。
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