2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530105
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高田 昌宏 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50171450)
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Keywords | 裁量 / 民事訴訟 / 釈明権 / 裁判官 / 手続裁量 |
Research Abstract |
本年度は、引き続き、日独の民事訴訟における裁判官の裁量をめぐる理論状況について考察を継続した。日本では、実務家裁判官による手続裁量論と研究者による裁量統制論が展開されているが、それらの到達点とその理論的検証を進めた。比較対象であるドイツ法については、これまでに公表されている裁判官の裁量に関する研究成果の分析を継続した。具体的な研究成果としては、とりわけ、裁判官の裁量が従来から問題とされてきた裁判官の訴訟指揮について、とりわけ議論の多い釈明を中心に考察を行った。その成果を「訴訟審理の実体面における裁判所の役割について―釈明権の法理に関する序論的考察―」ど題する論考として公表した。釈明をめぐっては、一見、裁量規定の外観を有する日本民事訴訟法149条の釈明権規定のように、手続裁量論などで裁量の典型的場面とされている法規律について、ドイツで、それを裁量性を包含する規定と解することに否定的な見解が有力に主張されていることを明らかにし、その背景を解明することにより、わが国の裁量規範としての149条の位置づけを批判的に検討し、裁量をめぐる問題の1つの克服可能性を提示した。また、より一般的な次元での研究の結果として、ドイツにおける理論・実務の考察から、裁量概念の正確な概念規定が試みられ、正確な裁量の妥当領域とそうでない領域の限界づけの試みが進められていることと、厳格な意味での裁量の場面での裁量的判断に法律の目的等による一定の制約があることと、それに基づく制御の可能性および必要性が議論されていることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)