2013 Fiscal Year Research-status Report
所有権界・境界と筆界をめぐる総合的研究~民法・手続法・実務による総合的アプローチ
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23530113
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 淳子 愛知学院大学, 法務研究科, 教授 (00308818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 直人 静岡大学, 法務研究科, 准教授 (50380209)
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Keywords | 不動産登記 / 筆界 / 境界 / 所有権界 / 土地家屋調査士 / 境界紛争ADR / 筆界確定訴訟 |
Research Abstract |
筆界紛争の予防や早期解決については、筆界の調査・測量・相談を行う土地家屋調査士の役割が大きい。そのような調査士が民事実体法の理論的な状況を踏まえて業務に当ることで紛争防止効果があるものと考える。そこで、平成25年度は、調査士の民事実体法の理論的状況の理解状況(田中担当)を、手続法な理論的状況の理解状況(和田担当)を研修会等に参加することで調査した(愛知、岐阜、富山、愛媛、岡山等)。調査士会による研修によって、民事実体法、手続法の理解の必要性は伝えられているものの、調査士各位の意識の違いにより、理解状況、理解の必要性の認識についてもばらつきがあるように見受けられた。具体的には、筆界紛争に関わる場合であっても、境界の立会に同意を与えた場合の法律上の効果や意思表示の無効・取消し、撤回、代理制度、契約法制、時効制度や物権変動論、損害賠償制度、相続法、その他、成年後見制度、消費者契約法に及ぶ民事法関連の法的知識が必要であることについて理解が十分ではない点が明らかになった。筆界紛争が多面的・複眼的、総合的な検討が必要な問題領域であること、調査・測量・相談業務は一連の業務であることから、当該実務上の業務内容と民事実体法・民事手続法のどの領域が関連する問題なのか。そしてのその問題解決に必要な法的理解とはなにか。この点について、具体化、明確化することが、紛争解決に一定の効果がもたらされることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、当該研究の最終年度であり、計画によれば、平成23年~24年度で得た調査分析結果を基に、相談業務を含め各制度の適切な運用、効果的な連携に向けた理論的基盤を提示することになっていた。しかしながら、研究分担者の1名の当該研究からの離脱が生じ、実体法領域、手続法領域そして、実務領域の横断的検討ができなかった。そのため、自己点検評価として、(3)やや遅れている、との評価をしなけえばならない。その他の各領域については、概ね順調にすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
民事手続法の研究分担者の離脱によって検証・検討が十分にできなかった点について、次年度は同分野の専門家に意見を求める等して、当初の目的である「実体法・手続法の理論的研究と調査士等の実務研究とを横断的に問題を検討する」ことを実現したいと準備を進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者が研究年度途中で離脱したことにより、分担者への配当分が年度内に使用できなかったため。 研究の延長申請が認められたため、平成26年度も継続して当該研究を継続し、研究責任者が当該研究目的の達成のために使用する。
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