2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530120
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
井上 能孝 信州大学, 法曹法務研究科, 准教授 (60441721)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | イギリス / パートナーシップ / 有限責任会社 / LLP / リミテッド・パートナーシップ |
Research Abstract |
23年度は、本研究の初年度であったため、(1)本研究の基盤となった前年度までのアメリカの研究の整理・公表、(2)わが国の類似事業体に関する研究、(3)イギリスの法状況と研究対象の確認と分析に留まった。(1)について:23年10月に「アメリカのパートナーシップ型事業体における利益分配と退出の仕組みと法理」を公表したが、それ以前に公表した「NCCUSL(統一州法委員全米会議)におけるパートナーシップ型事業体の変遷と主な論点の分析―集合体理論から事業体理論への移行―」および「米国改訂リミテッド・ライアビリティ・カンパニー法の概要と分析」と合わせて、本年10月に日本私法学会で報告の予定である。(2)について:わが国のパートナーシップ型事業体(持分会社、各種組合契約、士業法人)に関し、(1)で明らかになった議論に基づき、分析を行ったものを24年度中に公表する予定である。(3)について:イギリスのパートナーシップに関する法には、General Partnershipに関するPartnership Act 1890、Limited Partnershipに関するLimited Partnership Act 1907およびLimited Liability Partnershipに関するLimited Liability Partnership Act 2000の3つがある。また、アメリカのLLCやわが国の合同会社に相当する事業体として、有限責任会社(Limited Liability Company)があり、これに関して規定するCompanies Act 2006も当該部分につき研究の対象としている。現在、これらの法に関して調査・分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一は、本研究に基盤となったアメリカのパートナーシップ型事業体に関する報告・公表が、予定よりも長くかかっていることである。また、上記のように、これに関する学会報告を本年10月に行うため、本研究に本格的の着手するのは、それ以降のこととなる。ただし、これに関しては、本研究の基盤となるものであり、本研究を効率的に進めていくことに大きく寄与するものと考えている。 第二は、昨年度末に、別大学の法科大学院に移籍したため、その準備等に大きな時間を割かざるを得なかったことである。これに関しても、本研究のためには、より恵まれた研究環境を手にすることができたともいえ、これもまた、本研究を効率的に進めていくことに大きく寄与するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一は、上述の通り、本研究の基盤となっているアメリカの状況に関する私法学会での報告を行う。その際に指摘される事項に関し、本研究に積極的に取り入れていく。 第二も、上述の通り、わが国のパートナーシップ型事業体(持分会社、各種組合契約、士業法人)に関するに関する論考を本年度中に公表する。アメリカのLLCに相当するものを、パートナーシップの法類型ではなく、会社法の中で規定していることなど、わが国のはパートナーシップ型事業体に関する法規定にあり方は、アメリカよりは、むしろイギリスに類似している。ここでは、わが国のパートナーシップ型事業体に関する分析を行うと同時に、アメリカおよびイギリスのパートナーシップ型事業体に関する法状況を紹介する。 第三は、2013年春にイギリスで現地調査を行って、平成25年度早々に、イギリスのパートナーシップ型事業体に特化した論考を公表する予定である。そのための文献調査を1月を目途に区切りをつけて行っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では、平成23年度中に海外出張を実施する予定であったが、所属機関移転等の理由で研究の進捗状況が遅れていたため、次年度実施することになり、次年度使用額が生じた。現地調査は、本年度の末(2013年の春)に行う予定にしており、それに相当する金額が、今回繰り越されている。それ以外は、申請の通りであるが、当初は研究環境があまり整っていなかったため、データベースの費用を申請の内訳に含めていたが、移籍により、その部分の費用を追加的な文献の購入および現地調査の費用に当てようと考えている。
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