2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530120
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
井上 能孝 信州大学, 法曹法務研究科, 准教授 (60441721)
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Keywords | パートナーシップ / 有限責任会社 / LLP / リミテッド・パートナーシップ / イギリス |
Research Abstract |
平成24年度は、本研究の2年目であったが、①本研究の基盤となったアメリカのパートナーシップ型事業体の法理論に関する研究の学会報告、②わが国の類似する事業体に関する研究、③イギリスの法状況と研究対象となっている事業体の概観分析にとどまった。 ①については、「アメリカにおけるパートナーシップ型事業体の法理論」と題する研究報告を日本私法学会にて行った。 ②については、わが国におけるパートナーシップ型事業体とも称すべき、持分会社、各種組合契約・士業法人に関し、①で明らかになった議論に基づき調査を行った。特に、会計や有限責任の仕組みに関しては、アメリカとは大きく異なっているため、その点に関する詳細な分析を行った。 ③については、イギリスのパートナーシップ型事業体に関する法として、i)General Partnershipに関するPartnership Act 1890、ii)Limited Partnershipに関するLimited Partnership Act 1907およびiii)Limited Liability Partnershipに関するLimited Liability Partnership Act 2000の3つを研究の対象として、特に会計実務や税法上の扱いに関して調査を行った。また、あめりかのLLCやわが国の合同会社に相当する事業体として、有限責任会社(Limited Liability Company)があり、これに関して規定するiv)Companies Act 2006も研究の対象としているため、現在、これらの法や判例に関して調査・分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
第一は、昨年度は法科大学院に移籍して1年目であったため、授業準備等に追われ、研究の時間をほとんど確保できなかったことである。現在のところ、本年度も似たような状況であるが、8月以降研究のためにまとまった時間を確保することが可能となったため、集中して取り組んで行く予定である。 第二は、昨年度は、上記の通り、アメリカのパートナーシップ型事業体に関する研究報告を日本私法学会で行ったため、そのための報告準備を優先させたことによる。本年度は大きな学会報告の予定はなく、本研究に集中することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一は、上記の4つの法、すなわち、i)General Partnershipに関するPartnership Act 1890、ii)Limited Partnershipに関するLimited Partnership Act 1907、iii)Limited Liability Partnershipに関するLimited Liability Partnership Act 2000、iV)有限責任会社(Limited Liability Company)に関するCompanies Act 2006の規定内容につき詳細に分析すると共に、主な判例に関して分析・紹介を行う。 第二は、特に会計実務と税法上の取扱、実務上のメリット・デメリットに関して情報収集お行うために、夏に現地調査を行う。 第三は、日本法への示唆とすべき点を明らかにし、提言を行うことである。そのために日本法の規定内容や沿革・趣旨等に関して詳細に分析する必要があるが、特に、会計に関する事項と有限責任事業体における債権者保護の仕組みに関する提言となる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では初年度にイギリスへの現地調査を行う予定であったが、所属機関の移籍等の理由により最終年度となってしまった。研究費の執行予定額の多くが繰越になっているが、それはこの現地調査を後倒しにしたことによる。現在のところ、ロンドン大学高等法律研究所での研究が行えるよう準備中である。
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