2013 Fiscal Year Research-status Report
野生動物保護管理の推進に必要な狩猟者の法的位置づけ及び権利関係等に関する研究
Project/Area Number |
23530124
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 満彦 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (10401796)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 洋美 東北芸術工科大学, 芸術学部, 教授 (70405950)
|
Keywords | 環境法 / 環境政策 / 狩猟 / 野生動物管理 / コモンズ / 自然保護 / 土地所有権 / 入会権 |
Research Abstract |
本年度は、東日本を中心に19都県の約2万人の狩猟者を対象に行ったアンケートの集計・分析に相当の労力を割いたとともに、計画上の最終年度であるため、成果の取りまとめに傾注した。その結果、例えば「自分の猟場の土地所有者を大体知っている」との質問への回答が、7件法で4.66にとどまる反面、猟場が決まっているとの回答は5.71で、他人の猟場に入らないとする回答は5.23であるなど、本研究課題と直結するデータが収集できたほか、特に東日本大震災による放射能汚染が狩猟者に与えている影響など、関連する数々の貴重なデータが収集できた。アンケート結果の集計を終え、分析に取り掛かり、全米野生生物学会(Wildlife Society)や、「野生生物と社会」学会に成果を発表するなどの活動をしたが、何分にも多岐にわたる膨大なデータのため、まだ分析は完了しておらず、研究期間を延長して26年度に持ち越すこととした。 現地調査に関しては、ケニアと米国の現地調査と、東北、信州の狩猟者のヒアリングはを年初の予定どおりにおこなった。狩猟廃止国ケニアにおいては、いまだに狩猟技術が濃厚に伝承されているのを目の当たりにするとともに、狩猟廃止運動の活動家へのインタビューの機会も得た。米国では、五大湖先住民族狩猟漁撈管理委員会(GLIFWC)を訪れ、狩猟活動と取り締まりの実態を視察した。国内ヒアリングは、マタギサミットの集会時のほか、随時に現地で行った。 文献調査等についてはまとめの段階だが、鳥獣法改正の動きがあり、法案の基礎となる審議会答申へのパブリックコメントなどに調査結果を積極的に活用することができた。 上記のように総合すると充実した研究が展開できている。例えば、研究分担者田口が本研究課題を直結した意義深い論考を発表したほか、成果も順調に論文化されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査、現地調査、アンケート調査といずれもほぼ順調に推移し、まとめの段階に入っており、総合すると充実した研究が展開できている。成果発表研究分担者田口が、本研究課題を直視した意義深い論考を発表したほか、雑誌論文5件、国際学会での発表をはじめ学会発表4件と、成果も順調に公表されている。 しかし、アンケート調査の分析が作業量の多さのため、時間がかかり、ひいては最終段階で予定していた公開研究集会(シンポジューム)や、国際・一流雑誌への投稿、成果報告書の編集といった本格的な成果発表までたどり着かず、一年の延長を申請することとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題に関する調査は、アンケート調査の分析も含めてほぼ終了している。残されているのは、成果報告の公開研究集会実施、国際・一流雑誌への投稿論文の完成、そして成果報告書のとりまとめである。 上記の作業を着々と進めたい。なお、現時点では、公開研究集会は5月24日予定、国際誌への投稿論文のうち一本は英文翻訳段階にある。また、近日中に鳥獣法の改正が予想されるが、改正鳥獣法に本研究の研究成果の視点から評価を加え、足りない点を次回改正の課題として提示する論文も発表したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題申請後に発生した福島第一原発事故による獲物や猟場の放射能汚染により、狩猟者の活動が低下し、鳥獣管理上の問題となっているため、研究2年目から計画修正をして、19都県の狩猟者約2万人を対象にアンケート調査を行った。調査は無事終了し、中間発表も行っているが、分析を完了する時間が不足し、最終発表の公開研究集会開催及び報告書印刷や、国際誌・一流誌等への投稿、報告書編集にまで至っていない。また、現地調査も新震災のの影響で、ややずれこんだ。 26年度は、研究集会の開催を含めた、成果発表の年としたいので、若干のやり残した分析等に要する物品費を除き、主として研究集会に要する旅費と、報告書印刷費に使用したい。
|
Research Products
(10 results)