2011 Fiscal Year Research-status Report
裁判員裁判でのICTを活用した法廷プレゼンテーション支援研究
Project/Area Number |
23530128
|
Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
伊藤 博文 愛知大学, 法務研究科, 教授 (50232468)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 裁判員裁判 / 法廷プレゼンテーション / ICTの利活用 |
Research Abstract |
本研究の初年度である平成23年度では、次年度以降の研究のための環境整備を主に行った。 第1に、裁判員法廷で弁護士側が使えるようなPowerPointスライドの作成支援のための調査研究を、第2に次年度以降の「プレゼン用法律素材」制作のためのハードウェアおよびソフトウェアの環境作りを行った。具体的に、第1については、プレゼンテーション技術の向上を目指すための最新のプレゼンテーション技術、裁判員法廷での弁論におけるプレゼンテーションに必要なスキル、実際の現場での利用状況等を調査・研究した。この点については研究成果として論文にまとめた。第2の環境作りとしては、「プレゼン用法律素材」作成に必要なハードウェアとして、高速な画像処理ができるデスクトップ・パソコンおよび素材となるソフトウェアを購入した。これらの環境を生かして次年度以降の「プレゼン用法律素材」をどのように効率的に生み出せるかを考慮しつつ、試行錯誤しながら研究室環境を整えた。しかしながら、全てが満足いくものとはなっておらず、足らない素材やハードウェアなどは次年度以降に適宜整備したいと考えている。 具体的な成果としては、第1に、裁判員裁判におけるICTの利用状況を調べてまとめた論文を執筆したこととが挙げられる。第2には、私の担当する法学部ゼミ生に裁判員裁判でわかりにくい法律用語を拾い出させ、その用語を視覚的に理解させるさまざまなPowerPointスライドを作成させたことである。現時点では公開するには至っていないが、今後PowerPointスライドの精度を向上させるとともに、次年度以降もゼミ生や法科大学院生を使って更なるコンテンツ作りを進めていきたい。 以上より、初年度の計画はほぼ消化できており、これを次年度以降の研究へと続けていく所存である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究の目的」の達成度という点において、「やや遅れている」と自己評価せざるを得ない。 まず第1に、研究費執行の時期が遅れた点に問題があった。科研費採択の通知を受けてから、実際に研究費の執行ができる状態になるまでに相当の紆余曲折があり、一時は研究費が満額支払われない状況が予測され研究計画の変更を余儀なくされるという状態もあり、研究に着手できない時期が相当長く続いた。実質的に平成23年度の研究費の執行が可能になったのは8月以降であり研究計画からの遅れは否めない。 第2に、本研究は3年計画であり初年度は今後の研究の研究環境を整えるのが目的であった。その研究環境を整えるという意味でのハードウェアおよびソフトウェアの導入は行えた点においては、研究計画通りであるが、そのハードウェアおよびソフトウェアを有機的に組み立てて、今後の研究活動に役立つ環境を整えることが出来たかという点においては遅れがある。この点は次年度以降の課題であり、遅れを取り戻しつつ本来の計画に沿った研究を続けるように努力する所存である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、当初の予定通り、法廷でのプレゼンテーションで使われるPowerPointスライドの制作ができる環境を活用し具体的な制作支援を行う。弁護士に代わって弁論要旨や冒頭陳述書などで使う資料としてのPowerPointスライドや法廷に提出する証拠資料としての動画や画像などのグラフィック技術を駆使した製作物を提供していくつもりである。 特に、第2年度は、「プレゼン用法律素材」作成を中心に研究を進めるが、視野を広げるためにも法廷プレゼンテーションを先駆的に行っているアメリカへも視点を向けて、研究の幅を広げたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究に遅れはみられたが、遅れは次年度で取り戻せると考えている。また、2年次となる平成24年度では、研究の幅を広げるためにアメリカ合衆国への視察・見学を予定している。具体的には、ミネソタ州にあるロー・スクール、William Mitchell College of LawにVisiting Scholarとして約一月程滞在して、ミネソタ州裁判所の視察を中心として、全米でICTを活用した先駆的な法廷プレゼンテーションを行っている弁護士事務所を訪れて、法廷活動の視察を始め意見交換を行い、研究の視点をアメリカに向けたいと考えている。アメリカの法廷における法廷プレゼンテーションが先駆的であることは、周知のことであり、具体的にどのように日本の法廷にそれらの技術やスキルを導入できるかを比較検討したい。この視察・見学の結果は論文としてまとめ公開する予定である。
|
Research Products
(4 results)