2012 Fiscal Year Research-status Report
裁判員裁判でのICTを活用した法廷プレゼンテーション支援研究
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23530128
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
伊藤 博文 愛知大学, 法務研究科, 教授 (50232468)
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Keywords | 裁判員裁判 / 法廷プレゼンテーション / ICTの利活用 |
Research Abstract |
本研究の第2年度である平成24年度では、前年度で構築した「プレゼン用法律素材」作成研究環境整備研究結果を踏まえ、研究の視野を広げるべく、アメリカへの海外視察を中心に行った。具体的には、アメリカ合衆国ミネソタ州のWilliam Mitchell College of Lawにおいて客員研究員として滞在し、2012年7月31日~8月27日(26泊28日)まで、ミネソタ州の裁判所における法廷およびロースクールでのICT利用状況を視察した。 研修期間を通じて、William Mitchell College of Lawにおいて個人研究室を配置させていただき、ここを拠点として日程調整を行いながら、下記の場所の見学および担当者との意見交換を行った。裁判所としては、Minnesota州のHennepin郡District Court、州最高裁判所、アメリカ連邦地裁District Cout of MinnesotaのMinneapolisおよびSt. Paul両裁判所を見学した。法律事務所としては、Minneapolis市に拠点をおきICTに力を入れている3つの法律事務所を見学させて頂いた。大変有意義な情報を得られたと考えている。 具体的な成果としては、第1に、上記海外研修の結果をまとめた論文を執筆したこととが挙げられる。第2には、私の担当する法学部ゼミ生に裁判員裁判でわかりにくい法律用語を拾い出させ、その用語を視覚的に理解させるさまざまなPowerPointスライドを作成させたことである。次年度以降も更なるコンテンツ作りを進めていきたい。 以上より、第2年度の計画はほぼ消化できており、これを次年度以降の研究へと続けていく所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」の達成度という点において、「おおむね順調に進展している」と考えている。第1に、今年度は、前年度のような研究費執行の時期が遅れるという問題もなく、研究費の執行が順調に行えた点においてはよかったと言える。第2に、本研究は3年計画であり今年度は前年度の遅れを取り戻すべく、研究を前倒しして海外研修を中心に行った。この海外研修で得られた知見が予想以上のものであったので、研究は大きく進めることができた。この流れを続けて、本来の計画に沿った研究を続けるように努力する所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、当初の予定通り、最終年度である第3年度では、研究した技術や得られた知見を活用して成果物を弁護士実務等にフィードバックする手法を研究開発して、実践していく。法廷でのプレゼンテーションで使われるPowerPointスライドの制作ができる環境を活用し具体的な制作支援を行う。弁護士に代わって弁論要旨や冒頭陳述書などで使う資料としてのPowerPointスライドや法廷に提出する証拠資料としての動画や画像などのグラフィック技術を駆使した製作物を提供していくつもりである。特に、海外視察などで得た知見を利用して、どのようなコンテンツが求められるのか、どのようなプレゼンテーション手法が求められているのかを更に研究し、研究の幅を広げたいと考えている。また、こうした研究を法廷で使われている素材の研究および法科大学院での教育用カリキュラム化へ繋げたいと考えている。こうした視察・見学の結果は論文としてまとめ公開する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度である第3年度では、研究した技術や得られた知見を活用して成果物を弁護士実務等にフィードバックする手法を、また研究での成果物を利用してもらえるような環境構築と作成する素材類の質的向上と量的な広がりを研究するための資料収集費として使用する。また、今年度も、海外にも目を向けていく研究も更に拡大して、ミネソタ州で行った調査をアメリカの他州にも拡大していき、アメリカの法廷における法廷プレゼンテーション技術を具体的にどのように日本の法廷にそれらの技術やスキルを導入できるかを比較検討していくための研修旅費として使用する。
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Research Products
(3 results)