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2012 Fiscal Year Research-status Report

「持続可能な発展」法の規範性と実効性

Research Project

Project/Area Number 23530131
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

西村 智朗  立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70283512)

Keywords持続可能な発展
Research Abstract

本年度は、持続可能な発展に関する国連会議(Rio+20)の成果文書の分析、および京都議定書の第2約束期間の削減義務に関する交渉経緯についての検討をおこなった。
Rio+20については、国内準備委員会の議論をフォローしたほか、成果文書の評価に関する国内外の研究業績を収集した。これらの検討結果について、年内に研究論文としてまとめる予定であったが、持続可能な発展を推進するための制度的枠組に関連して、年末に開催された国連総会が、UNEP及び持続可能な発展委員会の改組を決定し、この作業が開始されたため、論文の刊行を次年度に持ち越した。
京都議定書の将来枠組については、台湾国際法学会から、ポスト京都議定書の課題についての報告を依頼され、COP17までの議論状況と第2約束期間の義務に関する国際法上の課題について、本研究の成果を公表した。また、12月に開催されたドーハ会議(COP18)に参加し、第二約束期間の削減義務に関する国際交渉の結果について、実務家、研究者、NGOといった関係者と現状分析について知見を共有した。
これらの研究作業と並行して、持続可能な発展概念が、国際貿易秩序と環境条約レジームに与える影響について検討するための準備作業を開始した。より具体的には、前年度のGATT/WTOにおける持続可能な発展概念の形成プロセスの分析を前提に、紛争解決パネルにおける持続可能な発展概念の評価及び解釈について、パネルの事例を収集した。また遺伝資源のアクセス及び利益配分に関する名古屋議定書とWTOの下にあるTRIPS協定との関係について、関連する研究業績を収集すると共に、生物多様性条約の締約国会議における議論状況について、資料の収集を開始した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

持続可能な発展に関する国連会議(Rio+20)の成果に関する分析については、同会議に参加する予定であったが、学内業務との調整がつかず出席することができなかった。しかしながら、これについては、直接出席した研究者にヒアリングしたほか、東京で開催された国内準備会議を傍聴することで、当初予定していた作業のかなりの部分をフォローアップすることができた。
また、同会議の結果を受けて、持続可能な発展を実施するための国連の機構改革が始まったため、これらの検証を踏まえた分析が必要となった。そのため、Rio+20の成果に関する研究論文の刊行が予定より遅れることになったが、すでに成果発表の場は確保してあるので、国連での議論状況を踏まえて2013年度中には刊行する予定である。
さらに京都議定書および名古屋議定書に関する国際交渉については、それぞれの締約国会議での議論状況を随時フォローしており、関連の研究業績も入手に努めている。したがって、これらの研究作業についてもほぼ順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の最終年度にあたる2013年度は、研究の総括をおこなう。
まず、Rio+20とその後の国連総会の議論を踏まえて、国連における持続可能な発展概念の規範的意義について評価する。また、現在それぞれの多数国間環境協定の締約国会議の中で議論されている環境保護政策を統合し、調整するために「持続可能な発展」概念が国際法規範としてどの程度実効性を担保できるかについての分析を行う。この作業は、持続可能な発展概念の中核のひとつである経済発展との関係から、WTOレジームと環境レジームの相互関連性についての検討を必要とする。これらの分析は、国際法の分断化(fragmentation)を解決するひとつのアプローチとして研究する意義があると考えられる。この研究作業については、名古屋議定書が他の法領域とどのように関連し、調整を必要としているかについての分析について、国際法学会で報告する予定である。また京都議定書レジームの課題についてシベリア連邦大学からシンポジウムの報告を依頼されており、そこで研究成果を発表する予定である。これらの口頭報告およびそこでの議論を踏まえて、多数国間環境協定の統合と調整に関する理論分析について総括する論文をまとめたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費として、Rio+20や多数国間環境協定の現状分析に関する欧文文献の収集を行う他、現有の物品(プリンタ)の消耗品などを購入する。
旅費として、資料収集及び研究会への出席のため、東京への国内出張を3回程度予定するほか、気候変動条約及び京都議定書の締約国会議(COP19/CMP9)がポーランド(ワルシャワ)で開催されるので、これに参加する予定である。
その他、必要に応じて、資料整理や欧文で執筆する論文の添削などのために人件費・謝金を執行する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] WTOと持続可能な発展2012

    • Author(s)
      西村智朗
    • Journal Title

      名古屋大学法政論集

      Volume: 245号 Pages: 1-35

  • [Journal Article] 生物多様性の権利性(横浜地判平成23・3・31)2012

    • Author(s)
      西村智朗
    • Journal Title

      平成23年度重要判例解説(ジュリスト臨時増刊)

      Volume: 1440 Pages: 303-304

  • [Presentation] Outcome of Durban Conference (COP17) and its Issues in International Law2012

    • Author(s)
      西村智朗
    • Organizer
      台灣國際法學會第二屆「氣候變遷與國際環境法」研討會
    • Place of Presentation
      国立台湾大学(台北市)
    • Year and Date
      20121027-20121027
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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