2013 Fiscal Year Research-status Report
中国の民主化運動に関する考察 - 「右派」の視点から
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23530139
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
赤倉 泉 山形大学, 人文学部, 准教授 (70292399)
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Keywords | 中華人民共和国 / 反右派闘争 / 民主化 / 自由化 |
Research Abstract |
研究内容: 中国における言論弾圧としての反右派闘争(1957年)について、その前後の時期の政治動向を含め、どのようなプロセスで弾圧が進められたかを中心に全体像を考察した。 (1)まず、中国で行われた同様の大衆動員型政治運動と比較すると、その手法で多くの類似点が見られるものの、最大の相違点として言論活動を初めて罪状として処罰対象にしたことが挙げられる。反右派闘争で言論活動を処罰するため、労働教養制度(司法手続き不要の無期限拘留)が作られ、現在に至る言論統制の基本的枠組みが形成された。 (2)次に、この時期には政治や社会の問題への対応として党内改革が模索されていたが、そこでの論点(党と政治の分離など)は現在まで続いている政治改革の議論と基本的に同一であることが明らかになった。これは、一党支配の問題処理能力の限界を示すものである。 (3)最後に、1956年から57年には民主化に関わる議論が共産党内外から数多く表明された。この論点は、その後の民主化要求運動の論点とほぼ同一であり、現代中国の民主化運動の原点でもあることが明らかにされた。 意義、重要性: 反右派闘争については回顧録がほとんどである中で、政治学的な考察を行う事ができた。さらに本研究は、大衆動員型政治運動の事例研究、現代中国における言論統制、政治改革議論、民主化運動の原点などの重要な事柄について重要な知見を提供することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
3年の期間を経て、反右派闘争に関する研究については一定の成果があったが、それらを研究成果として発表できなかった。また、反右派闘争に関する研究に時間をかけすぎたため、反右派闘争以降の言論統制、党内政治改革、民主化要求運動へのつながりといった重要な部分については、まだ不十分な点がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、これまでの成果を論文にして発表する作業を最優先で行う。現在の中国政治への含意に関する部分についても引き続き考察を深めて、当初の目的を達成できるよう努力したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中国への調査出張旅費(20万)を計上していたが、大学の校務出張で香港に行く機会があり、そこで行った資料収集によってほぼ目的が達せられた事から、旅費とそれに関連する諸費用に未使用額が生じた。 平成26年度における調査出張の経費に充てる予定である。
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