2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国の民主化運動に関する考察 - 「右派」の視点から
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23530139
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
赤倉 泉 山形大学, 人文学部, 准教授 (70292399)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 中国の民主化 / 反右派闘争 / 政治的名誉回復 / 動員政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究内容: ①先行研究と回顧録等の原資料を精査する事により、反右派闘争を中心とする政治現象の全体像を解明した。特に、政治運動全体がどのような段取りで進められたのかという部分は先行研究でも明示されていないため、その点を明らかにできたことにより、他の大衆動員型政治との比較検討を可能にした。 ②反右派闘争は中国で初めて言論を罪として厳罰を科した事例であり、断罪された「言論」は現在の民主化運動の論点そのものであることを明らかにした。その点に着目しながら、中国における民主化運動を捉え直し、現在までの動向をまとめた。また、ポスト毛沢東時代に入って名誉回復を遂げた元「右派」たちが現在起こしている損害賠償訴訟について、現状と含意を考察した。
意義、重要性: ①について、未だ未解明な部分の多い1957年の政治現象を明らかにできたという政治史としての意義がある。同時に、中国の政治運動のパターンがソ連スタイルの踏襲であることも明確になり、比較政治学分野に対しても新たな知見を提供できると思われる。 ②について、中国における民主化運動の流れをより根源的に理解するための一助となり、現在、「新公民権運動」として広まりつつある新たな民主化運動について貴重な視座を提供する事ができる。また、元「右派」が現在の中国政治に及ぼす影響力というのは、今後の貴重な検討課題となるだろう。
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