2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530140
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
北村 純 群馬大学, 社会情報学部, 准教授 (70297175)
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Keywords | 行政史 / 公文書管理 / 稟議制 |
Research Abstract |
最終年度の調査研究を以下の通り実施した。 研究計画の3つの柱に沿ってまとめの作業を行った。1.行政史的概観:旧行政管理庁・旧総務庁の文書管理行政について収集した資料より考察を行い、国立公文書館史の展開と対比するかたちで検討した。資料で語られていない部分をどのように考察するか、行政史として描けることは何かなど、行政学会の研究動向を踏まえ論点整理をしている。2. 中央省庁のサーベイ:とくに官僚への取材調査は本研究で十分進まなかった領域だが、文献面から事実関係の整理をしつつ、情報公開制度・公文書管理制度に対する各省の対応を跡づけた。3. 官民対比:稟議制研究史を振り返ることは考察の基盤として有益であることを指摘しつつ、文書管理から記録管理への移行を妨げる組織文化(行政文化)の課題について考察を進めた。 最終年度に原著論文を発表することができなかった。この点について反省している。公式の研究成果報告書以外に、平成26年度中に紀要等の媒体を通して原著論文または研究ノートのかたちで本研究の報告を行う(準備中)。 今回の研究から、次の2点の視角を得たことに意義があると考える。1)応答的官僚制への移行が現代行政官僚制の1つの方向性であるとすれば、新たな本人-代理人関係を前提とした文書管理活動(文書管理サイクルの確立)が必要となる。2)情報公開制度、公文書管理制度の確立へ向けて、官庁の文書管理活動を専門知識の側から見直し、従来の文書管理活動を構成する要素を入れ換えながら改善・改革(変化)を求めていくことが重要である。
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