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2011 Fiscal Year Research-status Report

先進諸国における大都市制度の総合的解明

Research Project

Project/Area Number 23530144
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

北村 亘  大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40299061)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords政令指定都市 / 単層制自治体 / 昼夜間人口比率 / 大阪市
Research Abstract

政治学や行政学における理論的研究を手掛かりにして本研究の分析枠組みの検討を行う一方で、海外における広域自治体と大都市との衝突と中央政府による制度設計の実態のインタヴュー調査を行った。加えて、2012年4月に政令市移行予定の熊本市を含めた20政令市の社会経済データ分析を行った。(1)理論的研究から、大都市制度の設計には経済発展への貢献と地域間不均衡是正との間にトレードオフの関係があることを明らかにした。大都市に自律性を認めることによって大都市を中心に全国経済は発展するが、大都市の繁栄だけが過熱すると周辺との格差が拡大してしまい、最終的には全国経済は停滞してしまう。しかし、周辺との格差を解消するために大都市の自律性を抑制すれば、周辺との格差は縮小するだろうが、経済牽引力としての大都市の魅力はなくなり、周辺地域への再分配が困難となって全国経済は停滞してしまう。このようなディレンマを大都市の統治制度の設計は抱えているといえる。(2)大都市の統治制度をどのように設計しているのかを考える際に手がかりを与えてくれるのが広域自治体と大都市が激しく対立していた英国イングランドであった。イングランドにて二層制から単層制への移行がどのように行われたのかを現地で調査した。単層制自治体の導入過程から、大都市問題を解消するためには大都市を中心とした単層制自治体と広域自治体を中心とした単層制自治体というふたつの制度的選択肢があることが確認された。(3)そこで、日本における政令市制度がどの程度全国的な経済発展にふさわしい大都市に対応しているのかを把握するため、様々な社会経済データや行財政データを活用して主成分分析を行い、中枢性と能力供給性の観点から分類を行い、中央政府が財源や権限での特例措置を認めるべき大都市はごくわずかであることを示すことに成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

夏期休暇のあたりまで海外調査渡航の予算の執行が危ぶまれたこともあり、その他のデータ分析を含めて秋学期の終わりまでずれ込んでしまったためが、大阪府と大阪市との関係を事例とした分析や、20政令市の主成分分析などにも一定の目途をつけることに成功したと考えられるためである。以後、成果を順次、論文などの形で発表していく予定である。

Strategy for Future Research Activity

前年度に引き続き、インタヴュー調査や文献調査、データ分析を行う一方で、先行研究を理論的に検討することを通じて得た知見をまとめて、大都市、府県、中央政府の政策決定者の三者による大都市制度の選択を説明していく予定である。あわせて具体的に大都市が抱える課題について、政令指定都市がどのように府県と対立と協調を繰り広げながら解決策を見出してきたのかということを各政策領域で丹念に事例分析から明らかにする。その作業を通じて政令指定都市の権能と制約が明らかになるだろう。また、仮説をより一般的な形で示すためには、海外調査は欠かせない。2010年代に入ってからのイングランドでの大都市制度の変化を特定の地域に焦点を当ててさらに深く調査する一方で、時間が許せば他の先進諸国においても同様の事例がないのかどうか調査を行う予定である。実務関係者へのインタヴュー調査や専門家への意見聴取を行う。この点で、ヨーロッパ全体のみならず世界各国の地域別の研究所を有するオクスフォード大学の社会科学系のマクリーン教授(Iain McLean)やグッドマン(Roger Goodman)教授の協力が得られることになっている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

初年度に予定されていたデータ分析用のコンピュータおよびソフトウェアの購入に加えて出張あるいは学会報告用のコンピュータの購入などを進めて一層の研究効率の向上を目指す予定である。また、研究会や学会に積極的に出席することを通じて専門家あるいは実務家からの意見を得ることや、海外および国内の特定の都市部をめぐる大都市、広域自治体、中央政府との関係を調査するための出張も予定されている。あわせて、文献による理論的検討については引き続き予定されており、文献の購入も不可欠となっている。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 地方税財政における鼎立不可能な制度理念2011

    • Author(s)
      北村亘
    • Journal Title

      甲南法学

      Volume: 第51巻第4号 Pages: 121-144

  • [Journal Article] 民主党内閣の下での地方分権改革2011

    • Author(s)
      北村 亘
    • Journal Title

      連合総研ブックレット:民主党政権の政策と決定システム

      Volume: 第6号 Pages: 49-60頁

  • [Presentation] 大阪における行政改革の進展2012

    • Author(s)
      北村 亘
    • Organizer
      日本教育行政学会(招待講演)
    • Place of Presentation
      学術総合センター
    • Year and Date
      2012年2月28日
  • [Book] 新版アクセス日本政治論2011

    • Author(s)
      北村 亘
    • Total Pages
      304頁
    • Publisher
      日本経済評論社

URL: 

Published: 2013-07-10  

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