2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530149
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
秋吉 貴雄 熊本大学, 社会文化科学研究科, 教授 (50332862)
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Keywords | 教訓導出 / 政策移転 / 公共政策 / 政策過程 |
Research Abstract |
研究の2年目である平成24年度は、言説の概念に注目した政策学習の理論研究と予備調査をもとにした政策移転事例の分析を行った。 政策学習の理論研究に関しては、政治的学習、社会的学習、政策志向学習、教訓導出、政府学習といった従来の政策学習の支配的概念に加えて、シュミットやハイエールらの言説及び言説政治の概念を取り込んだ形での分析枠組みの再構築を行っていった。そこでは、ハイエールが指摘する言説の因果的物語のストーリーラインという機能に注目し、問題構造のフレーミングへの影響について検討した。さらに、シュミットが指摘する言説の観念的側面での認知的機能と規範的機能、政治的相互作用の側面での調整的機能と伝達的機能に注目し、それらを政策学習のプロセスに取り込む形で分析枠組みの再構築を検討した。 このような理論研究とあわせて、政策移転事例に関しても分析を進めていった。具体的には、NPM、消費者庁、インセンティブ規制導入といった事例を取り上げ、前年度からの予備調査に加え資料収集とその分析を行った。そして、それぞれの事例の政策移転のプロセスについて、大きく、問題の認識、他国からの教訓導出、制度設計、という段階において、どのような政策学習が行われたかを検討した。また、そこでは前述の具体事例をもとに、政策移転の対象である「政策理念」「組織」「政策手段」という要素においてそれぞれどのような学習が行われるかということについても検討を行った。 これらの研究の成果に関しては、前述の理論研究の成果の一部を日本政治学会の学術雑誌である『年報政治学』の特集論文の理論枠組みとして発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に行った教訓導出に関する理論研究と事例の予備調査を踏まえた上で、今年度は分析枠組みの再構築という形で理論研究をさらに発展させることができ、また、事例に関しても分析を行うことができたため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に関しては、理論研究、事例研究とも24年度の研究結果を再検討し、発展させていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理論研究に関しては政策学習、政策移転、言説等の概念に関する研究書の購入を予定している。事例研究に関してはさらなる資料収集、関係者へのヒアリング等に関連した支出を予定している。
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