2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530149
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
秋吉 貴雄 中央大学, 法学部, 教授 (50332862)
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Keywords | 教訓導出 / 政策移転 / 公共政策 / 政策過程 |
Research Abstract |
研究の最終年度である平成25年度は、政策移転事例の分析をもとにした学術論文の執筆と、同論文での分析結果をもとに教訓導出概念に関する再検討を行った。 政策移転事例の分析に関しては、消費者庁の政策移転事例と関連して、食品安全委員会設置についてその教訓導出過程を分析した。そこでは、①食品安全行政における問題の認識、②教訓の参照、③教訓をもとにした政策対応、という3つの段階について、どのように教訓導出が行われたかということについて検討した。そして、食品安全行政が機能しないような制度設計がなされたのかということについて、BSE問題に関する調査検討委員会での、①政策アイディアの学習の失敗、②制度化の失敗、という2つの「教訓導出の失敗」の存在を指摘した。また、政策移転の対象である「政策理念」「政策手段」という要素に関して、それぞれどのような学習が行われるかということについても他の事例をもとに検討を行った。 そして、これらの事例分析をもとに、教訓導出概念についても理論的検討を行った。そこでは、まず事例分析の枠組みの検討において、教訓導出に影響を及ぼす要因として、①プログラムの独自性(uniqueness)、②制度、③資源、④プログラムの複雑性(complexity)、⑤変化の規模、⑥相互依存、⑦価値、といった要因を確認した。また、事例の分析結果から、従来から指摘されていた制度的要因(政策決定の場、拒否点、政策遺産)と関連する形で、「(問題の)フレーミング」によって教訓導出の様態が一定程度規定されることを確認した。 これらの研究の成果に関しては、前述の事例研究の成果の一部を中央大学法学部紀要の『法学新報』に投稿し、121巻3・4号での掲載が確定した。
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