2011 Fiscal Year Research-status Report
近代中国における社会の武装化と中国共産党の武装闘争ー中央革命根拠地の事例分析
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23530159
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿南 友亮 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50365003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 真 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (20316681)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 米国 / 中国 / 台湾 / 中国共産党 / 中国国民党 / 中国革命 / 近代中国 |
Research Abstract |
本研究は、1930年代に中国の江西省と福建省にまたがって形成された中国共産党の中央革命根拠地を共産党の資料、中国国民党の資料、民間の資料を用いて多角的に分析し、社会に内在した様々な暴力形態と革命政党との関係について考察することを主たる目的としている。 平成23年度においては、上記の目的を達成するために、中国の江西省、福建省における資料収集や現地調査の実施準備、中国国内で出版された資料集の収集、既に収集済みの資料の分析、分析結果に関する意見交換などを進めつつ、参加メンバー全員が3月に訪米し、複数の大学において資料収集を実施した。 研究代表者の阿南と協力者の岩谷は、Columbia大学において1930年代に対共産党工作に関わった国民党幹部(熊式輝、陳立夫、張発奎など)の手記、日記、手紙、公式文書、著作物の調査と収集をおこなった。阿南は、その後Harvard大学に移動し、同大学において、中国の民間武装団体に関する資料や中国共産党関連の資料の調査・収集をおこなった。また、同大学の燕京センターの所長で中国における社会の武装化に関して複数の著作を発表してきたエリザベス・ペリー教授ならびに日本研究・中国研究の世界的権威として知られるエズラ・ボーゲル教授に面会し、本研究に関する建設的な助言を得た。 研究分担者の山本は、Drew大学, Yale大学,Columbia大学で主として19世紀半ば以降の福建省の社会に関して宣教師などが残した記録や農村建設関連資料(晏陽初文書)の収集をおこなった。メンバー全員がコピーや撮影をして得た資料は合計4千枚前後に達した。これらの資料は、今後、研究を進めていくうえで極めて有力な材料となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、中国、米国、台湾において資料調査をおこなうことを重要な課題として設定している。研究に着手した最初の年度で米国においてほぼ計画通りの資料調査を実施することができ、なおかつ、研究を進める上で非常に重要な判断材料となる貴重な資料を大量に入手できたことは大きな成果といえる。本研究の構成員は、とりあえず一つの課題はクリアできたという評価を共有している。 また、中国、台湾での資料調査を実施するうえでの準備(調査対象となる史料館への連絡、調査をするうえで不可欠となる紹介状の執筆依頼など)もほぼ完了しており、3名のメンバーがそれぞれの役割分担に従って、平成24年度中に中国と台湾で調査を実施する予定である。つまり、残る2つの課題も本研究の3年計画の2年めでほぼ達成できる見込みである。 既に収集した資料の分析も各メンバーによって着実に進められており、その分析結果に基づき論文執筆と学会報告をおこなう態勢が整いつつある。 これらの点から判断して、本研究は、おおむね順調に進展していると評価し得る。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、既に最初の年度の米国での資料調査によって多くの貴重な資料を入手した。平成24年度以降は、これらの資料の分析を進める。同時に、平成24年度は、再び海外で資料調査をおこなう。これに関しては、7月までに具体的な実施計画を立案する予定であるが、現時点では中国の江西省、台湾に焦点をあてて準備を進めている。 平成24年度の後半に入れば、各メンバーによる資料の分析もかなりの進展が予想されるので、それぞれが本研究の目的に則していかなる論文を書くのかについて具体的な執筆計画を策定し、執筆に着手することになる。各論文の整合性を維持するために、年度内に数回報告・検討会を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額」の五万七千円は、主として平成23年度中に歴史的な円高が進んだ影響で、当初の予想よりも米国での調査活動が安価に済んだ結果生じたものであり、年度末に経費の計算をおこなったところ判明したものであった。メンバー間で相談したところ、来年度も旅費に多くの予算を必要とすることが予想されることから翌年度の研究費と合せて旅費として活用することで合意をした。平成24年度は、研究費の大半は海外での調査に必要となる旅費および資料の購入費に充てる予定である。
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