2013 Fiscal Year Annual Research Report
近代中国における社会の武装化と中国共産党の武装闘争ー中央革命根拠地の事例分析
Project/Area Number |
23530159
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿南 友亮 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50365003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 真 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (20316681)
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Keywords | 中国近代史 / 革命と軍隊 / 中国内戦 / 中国共産党 / 中央革命根拠地 / 江西省 / 福建省 |
Research Abstract |
平成25年度は、阿南、山本、岩谷の三人体制で取り組んできた共同研究の最終年として、研究課題に関する調査活動を継続しつつ、研究成果発表に関する取り組みを本格化させた。 調査活動に関していえば、代表者の阿南は、8月に江西省と福建省に点在する中央革命根拠地関連の遺跡、古戦場、資料館を回り、多くの貴重な資料を入手した。分担者の山本は、台湾での資料調査、協力者の岩谷は、米国での資料調査をそれぞれ実施した。 共同研究の成果は、平成25年10月に開催されたアジア政経学会東日本大会において分科会「近代中国の武装化した社会と革命政党ー革命に与した武装勢力の実態を探る」を企画し、そこで阿南と山本が報告をするという形でおこなわれた。阿南の報告「敵軍に加担した傭兵をいかにして引き抜くか?民国期中国の武装化した社会と中国共産党による軍隊建設に関する一考察」では、中央革命根拠地における共産党の軍隊にとって国民党軍に所属する傭兵が重要な兵士の供給源となっていた実態および国民党軍将兵が共産党に寝返った動機や背景について報告がおこなわれた。山本の報告「民国時期、福建省における武装化した社会と国民党政府による戦時動員」では、福建省における社会の武装化の実態および民間の武装集団と国民党との関係について報告がおこなわれた。 本研究の意義は、上記の学会報告ならびに阿南が10月に発表した論文「中国共産党による軍隊を対象とした政治工作の起源と初期の展開」(『法学』第77巻第4号、東北大学)などをつうじて、共産党が既存の軍隊や民間の武装集団を活用した軍隊建設を計画的に推進していた実態を明らかにし、社会変革が軍隊建設の不可欠な前提となったという従来の共産党軍に関する定説とは異なる軍隊建設の論理を学界ならびに社会に対して提示した点にあると考えられる。
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Research Products
(5 results)