2013 Fiscal Year Annual Research Report
韓国政官関係の比較研究-大統領・政治任用官僚・職業公務員関係はいかに規定されるか
Project/Area Number |
23530160
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
磯崎 典世 学習院大学, 法学部, 教授 (30272470)
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Keywords | 政治学 / 比較政治 / 韓国 / 政官関係 / 民主化 / 政権交代 |
Research Abstract |
本研究の目的は、政治任用と日本型公務員制度が併存する韓国官僚制度の特徴を明らかにし、大統領―官僚関係に焦点をあてた政策過程の分析により、政官関係を規定する要因を解明することである。前年度までの研究において、韓国の政官関係は、大統領の権限の強さを左右する大統領―議会関係や任期終了までの期間などに大きく規定され、それらアクター間の力関係のなかで捉えることが重要であるとの見解に達した。最終年度は、それを実証し、成果を整理する作業を行った。 第一に、公務員制度改革のキーパーソンである元中央人事委員長に、インタビューを実施した。その結果、制度改革は大統領、与野党、議会など政治アクターの力関係に大きく影響をうけたことが確認され、また、導入された制度が政権交代によって改編・廃止された過程に関する証言により、実証研究のポイントを確認できた。第二に、任期末の大統領と他の政治アクターとの力関係に着目した研究に続き、今年度は、大統領当選者が就任するまでの政権移行期、新大統領の行政組織再編の時期における各アクターの力関係の変化が、大統領―官僚関係の与える影響を探る調査を実施した。第三に、事例として研究を進めてきた経済政策、労働政策、社会保障政策の領域における政策過程について、昨年度学会報告したペーパーを発展させて研究会で報告し、論文として仕上げる作業を継続した。さらに、人事関係の資料のデータベース化にも着手した。また、昨年度実施した大統領選挙調査成果の一部を、本研究と少し異なる視点から論文にまとめた。論文は来年度、雑誌に掲載される予定である。 研究では、当初設定していた仮説以上に政権交代による制度改編のインパクトが大きいことが明らかになり、その要因を解明する実証分析に重心をおいた。今年度は、これまでの研究によって明らかになった結果をまとめ、次の研究につながるデータベース作成などの作業も行った。
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Research Products
(1 results)