2012 Fiscal Year Research-status Report
日米安全保障条約の事前協議制度をめぐる密約の政治史的構造
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23530165
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
信夫 隆司 日本大学, 法学部, 教授 (00196411)
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Keywords | 日米安保条約 / 事前協議制度 / 沖縄核密約 / 米比軍事基地協定 / 岸信介 / アイゼンハワー / 藤山愛一郎 / ジョン・フォスター・ダレス |
Research Abstract |
本年度は、米国立公文書館(米国メリーランド州カレッジパーク)を、平成24年6月、9月、12月の3回訪れ、また、平成25年2月に米国カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のヨーバリンダにあるニクソン大統領図書館を訪れ、リサーチを行なった。 リサーチの対象は、1958年から1960年にかけての安保改定交渉過程における事前協議制度に関する米側文書、それに、同時期、アメリカとフィリピンとの間で米比軍事基地協定の改定交渉が行なわれたので、米比間交渉に関する米側文書、さらに、1969年の沖縄返還交渉に関する米側文書であった。 リサーチにおいて、とりわけ、戦闘作戦行動に関する米文書を多数入手することができたと同時に、これまで研究が行なわれてこなかった米比軍事基地協定改定交渉の経緯を知ることができたことは非常に大きな研究成果であった。 具体的な研究成果のひとつとして、「核持ち込みの事前協議をめぐる日米交渉」(『政経研究』29巻4号、2013年3月)を発表した。この論文は、2010年3月に発表された密約に関する有識者委員会の報告書が、密約文書の存否によって、密約の有無を判断していたのに対し、日米の一次資料を駆使し、交渉過程の詳細を実証的に分析することによって、核持ち込み密約の存在を科学的に証明した画期的なものである。 また、これまでほとんど明らかにされてこなかった米比軍事基地協定の改定交渉の経緯を解明できたことは、同改定交渉の重要な課題となった事前協議制度について、日米間のそれとの比較を行い、事前協議制度について米側がどのように考えていたのかを知る上で大きな成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、サバティカルをとることができたという幸運も重なり、十分なリサーチを行なうことができ、きわめて順調に研究が進んでいる。すでに、本研究の成果を書き上げる上で必要な一次資料のほとんどを入手しており、それらの資料を駆使した書籍を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに本研究テーマに必要な一次資料は、日米双方からほとんど入手しており、今後はそれらの資料を用い、本研究課題に即し、『日米安保制度における事前協議』(仮題)といった書籍にまとめたいと考えている。現在、ほぼ半分程度の執筆段階にあるので、今後、きちんとしたものにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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