2012 Fiscal Year Research-status Report
アメリカのサンベルトにおけるリフォーム政治の変容(1970年代~20世紀末)
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23530167
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
平田 美和子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (90247122)
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Keywords | アメリカ政治 / サンベルト / 市政改革 / 都市政治 / 政治の保守化傾向 / リフォーム政治 / ロサンゼルス |
Research Abstract |
本研究は、20世紀半ば以降も市政改革が積極的に導入され、「リフォーム政治」が定着したアメリカのサンベルト地域(南西部・南東部)に焦点をあて、主要都市における「リフォーム政治」体制が1970年代以降、どのように「変容」したのか、またそれが連邦政治といかなる関連をもっていたのかを考察している。 平成24年度には、引き続き新規資料の収集をおこない、それらを読み進め、分析結果をデジタル化して記録した。とくに、1980年代以降に進んだ連邦政治の保守化傾向とサンベルト大都市圏の「リフォーム政治」体制との関連を検討する上で有効な文献の収集・分析に力をいれた。これらの作業結果を利用して、まずロサンゼルスのリフォーム政治体制の変化を研究し、その後、比較の視点からその他の主要都市の状況を検討した。 その結果、(1)革新主義市政改革の所産といえるロサンゼルス市の1925年市政憲章が、1999年に抜本的に改定された背景には、郊外にあたるサンフェルナンド・バレーの分離運動(ロサンゼルス市からの分離運動)が重要な要因としてあったことを明らかにした。(2)1960年代から70年代にかけて強制バス通学反対運動や「プロポジション13」支持運動の中心として共和党支持傾向が強かったバレー地域において、90年代にマイノリティ・グループの拡大とともに民主党支持傾向が強まったことが、州議会で分離運動に有利な超党派の妥協案を生みだした点にみられるように、ロサンゼルス市の「リフォーム政治」体制の変容は、州政治、さらには連邦政治と複雑に関連していることを見いだした。(3)投票権法成立後、サンベルト諸都市の「合併」、全市単一選挙区制に歯止めがかかり、マイノリティ・グループの市政への発言力が高まるに従い、大都市圏の郊外を中心に白人富裕層・中間層の共和党支持が強まったことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に実施する予定であった3つの作業(I.文献整備と表・図の修正・補足、II.リフォーム政治「変容」期の市政改革推進主体についての分析・解明作業、III.アメリカでの資料・情報収集と調査)をおこなったが、アメリカでの作業に当初予定した日数をかけられなかったため、計画に多少狂いが生じた。しかし、大きな問題ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に使用する予定であった研究費のうち、約13万円を平成25年度に繰り越しているが、アメリカへの出張日数を短縮したことによる。次年度の夏に短期間出張を計画中であり、その費用に充てる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度にも引き続き文献の購入に研究費を使用する他、上記のように夏にアメリカにおいてリサーチをおこなうことを計画している。
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