2011 Fiscal Year Research-status Report
自治体病院に関する外部評価指標・外部評価システムの研究
Project/Area Number |
23530174
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 啓 金沢学院大学, 経営情報学部, 教授 (70585877)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 公共政策 / 公共サービス / 外部評価指標 / 外部評価システム / 自治体病院 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地方公営企業である自治体病院の業務活動を評価するための、外部評価指標および外部評価システムの構築可能性を検討し、その課題と解決策を明らかにすることを目的としている。特に、本研究では、効率性の評価とともに、自治体病院が果たす公益的役割にも配慮した、効率性と公益性のバランスのとれた評価システムの可能性について検討するものである。 23年度は、外部評価の手がかりとして、(1)病院PFIや指定管理者制度などの外部委託事業のモニタリングシステム、(2)地方独立行政法人について行われている運営評価(外部評価)、(3)病院運営協議会などの外部委員会による運営評価などの実態把握とその分析に取り組んだ。 具体的には、病院PFI事業である東京都立駒込病院整備事業のモニタリングシステムの仕組みを文献調査により把握するとともに、東京都の担当者に対してヒアリング調査を行い、システム構築のもとになった考え方などを聴取した。指定管理者制度を活用した自治体病院の運営事例として、横浜市立みなと赤十字病院および多治見市立市民病院を対象に、指定管理者制度適用の経緯とモニタリングの仕組みを文献調査により把握するとともに、ヒアリング調査により、モニタリングの実際の運用状況を両市の担当者から聴取した。地方独立行政法人については、大阪府立病院機構の設立経緯および第1回評価手続きの概要を文献調査により把握し、ヒアリング調査により、第1回評価においてポイントとなった事項などを同機構職員より聴取した。また、病院運営協議会方式については、名古屋市立病院運営協議会について、ヒアリング調査により、協議会の設立の背景やその目的などを同市担当職員より聴取した。 上記調査を基に、概略の整理結果を平成23年10月の日本公益学会で報告し、その分析を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は研究初年度であり、病院PFIや指定管理者など病院事業を一部または全部外部委託している事例や、地方独立行政法人など新しい法人形態で運営している実対病院モニタリングシステム、外部評価システムの実態把握、課題把握を主眼においていた。 東京、大阪、名古屋の三大都市圏を中心に5事例の調査を通じて、(1)自治体病院の役割に関して概ね共通の認識があること、(2)効率性以外の要素を複数の視点で評価していること、(3)行政当局者が外部事業者の協力を得て評価を行っていることなどの実態を把握することができた。同時に、(1)定量評価の指標がないこと、(2)情報の非対称性が大きく、外部評価を行うのは、ある程度の専門知識が必要となることなどの課題も把握することができた。 次年度に予定しているディスカッションペーパーに向けて一定の検討材料を収集することができたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、年度前半に地方部の事例調査を補足的に実施し、外部評価システムの考え方をディスカッションペーパーにまとめる予定である。 平成24年度後半は、ディスカッションペーパーを基に、現に自治体病院を直営で運営している自治体を対象にヒアリング調査を行い、(1)(直営)自治体病院に期待する役割、(2)競合する公的病院、民間病院の評価、(3)(1)および(2)を踏まえたうえで、当該自治体病院の評価システムの有効性の評価を聴取することを予定している。 平成25年度は自治体病院を対象に、外部評価システムに関するアンケート調査を行い、その結果を踏まえて、ディスカッションペーパーの内容の見直し、再検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度の事例調査は都市部が中心となり、スケジュールの関係で地方部の事例調査一部実施できなかった。この分の研究費が次年度使用額となっているので、次年度は、地方部の事例調査をまず行う。そのうえで、ディスカッションペーパーの作成を行い、年度後半に、現に自治体病院を直営で運営している地方都市数か所にヒアリング調査を行う。これらの事例調査、ヒアリング調査費用として旅費を活用する。 また、ディスカッションペーパーの印刷費としてその他経費を活用し、事例調査などの関連文献の購入費として設備備品費、資料整理用の消耗品購入に消耗品費を活用する予定である。
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Research Products
(1 results)