2012 Fiscal Year Research-status Report
自治体病院に関する外部評価指標・外部評価システムの研究
Project/Area Number |
23530174
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 啓 金沢学院大学, 経営情報学部, 教授 (70585877)
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Keywords | 公共政策 / 公共サービス / 外部評価指標 / 外部評価システム / 自治体病院 |
Research Abstract |
24年度は、23年度に行った日本公益学会での報告内容を基に、報告時に得られたコメント等を踏まえて内容の整理を行い、同学会機関誌「公益学研究」に寄稿した。その後、23年度に行った事例調査の内容を整理・分析し、自治体病院に関する外部評価システムの構成要素について検討を行い、追加の事例調査を行った。これらの事例調査を踏まえて、外部評価システムの構成要素について検討し、ディスカッションペーパーの作成を行った。 「公益学研究」への寄稿に当たっては、自治体病院を評価する視点を中心に整理し、指定管理者制度と地方独立行政法人制度を活用した事例から、コスト、アクセス、クオリティの3つの視点のうち、アクセスの視点からの評価が重要であることを整理した。 事例調査結果の整理・分析については、病院PFI(東京都)、指定管理者制度(横浜市、多治見市、名古屋市)、地方独立行政法人(大阪府)を活用した自治体病院の外部化事例から、アクセスの視点での評価指標の抽出を試みた。しかし、評価の最終目的は、評価結果を使って、業務内容や病院の成果の改善を図ることにあるので、評価システムが有効に機能するために重要な要素を分析することに重点をおくこととした。このため、24年度は、新たに、論点の明確化の観点から、同条件で対比可能な病院PFI事業2事例(高知市、八尾市)の文献調査、ヒアリング調査を実施し、外部評価システムの構成要素の検討を行った。その結果、外部評価システムとして、「評価の客観性」を重視する仕組みと、「評価後の業務改善」を重視する仕組みの二つの立場があることが明らかとなった。そこで、外部評価システムの構成要素が「評価の客観性」と「業務改善」のどちらに関係するのか、という点を基準として事例調査結果を再整理し、実際に機能しているのは、「評価後の業務改善」を重視する仕組みであることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、ディスカッションペーパーを作成するとともに、自治体病院の評価指標に関するアンケート調査の準備を行い、質問票などを作成する予定であったが、事例調査結果の再整理により、ディスカッションペーパーの作成に予定外に時間をとられたことから、アンケート調査の準備作業までには至らなかった。 特に、評価指標の検討の前に、評価システムの構成要素の検討を行ったことから、具体的な評価指標の設定には至らなかった。しかしながら、実際に有効に機能する評価システムとするためには、評価後の業務改善を重視し、業務改善につながる評価方法を構築することが重要であることが把握できたので、25年度における「手戻り」の可能性を事前に回避することができたと見ることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は研究の最終年度であり、①指定管理者制度および地方独立行政法人などに関する追加事例調査を行ってアンケートの質問事項を固め、②自治体を対象としたアンケートを実施し、③その結果を基に、一般野自治体病院においても活用可能な外部評価システムとその評価指標をまとめることとする。 23年度・24年度の事例調査の結果、病院PFIの事例から「評価後の業務改善」を重視したシステムの有効性を把握できたが、「病院運営の外部化」という点では指定管理者病院や地方独立行政法人の事例調査が有効であることが判明した。特に、指定管理者制度においては、制度設計の細目が法令で規定されず、自治体の裁量による部分が大きいことから、評価システムが多様である。このため、最近の指定管理者病院と地方独立行政法人の事例調査を追加的に行い、その上で、アンケート項目を固めることとする。 また、②アンケート対象は自治体病院を指定管理者病院や地方独立行政法人に外部化した自治体に絞って、評価システムの構成要素と評価指標の内容把握に努めることとしたい。 分析に当たっては、「業務改善」につながる点をポイントにする予定であり、定量的評価と合わせて、補足ヒアリングなどにより、定性的な要素も加味することとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度から25年度へ繰り越す研究費は、ディスカッションペーパーを基にしたヒアリング調査旅費とアンケート調査の質問紙印刷費用が主たるものである。これらの作業は25年度前半に行い、25年度秋に自体に対するアンケート調査を実施する予定であり、繰越分は年度前半での執行を目途としている。 また、25年度当初予定の研究費は郵送によるアンケート調査の発送、回収とその分析費用、分析後の補足ヒアリング調査費用および関連する書籍・消耗品の購入費用に充てる計画であり、25年度後半に執行する計画である。
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Research Products
(1 results)