2011 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化時代の新しいレイシズム:ファシズムと北部同盟の比較研究
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23530176
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
高橋 進 龍谷大学, 法学部, 教授 (30136577)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | レイシズム / 北部同盟 / グローバル化 / ファシズム / 新右翼 |
Research Abstract |
イタリア・ファシズムの人種主義・反ユダヤ主義政策やアフリカ植民地支配に関する主要な研究文献の収集を行った。また、北部同盟の政策・歴史やヨーロッパの右翼ポピュリズム政党に関する主要な研究文献の収集を行った。 2012年3月末~4月初旬にイタリアに行き、資料収集と調査を行った。イタリアで唯一の絶滅収容所であったトリエステのリジエラ・ディ・サン・サッバ(Risiera di San Sabba)を訪れ、資料収集を行った。ヴェネツィアの旧ユダヤ人・ゲットにあるユダヤ博物館(Museo ebraico)を訪れ、資料収集をした。イタリア社会共和国の政府所在地であったサロの歴史博物館(Museo storico)に行き、社会共和国時代の反ユダヤ主義・人種主義政策の資料を収集した。 また、ブレシアとミラノを訪れ、自治体の外国人・移民に対する政策、北部同盟や諸団体の外国人・移民政策に関する資料と文献を収集した。 これらの収集した研究文献の分析を開始した。まず、ファシズムの人種主義政策の開始の年である1938年の大評議会決定や人種主義諸法の内容に関する研究成果を『龍谷法学』に連載の形で発表を始めた。論文には、広範な研究者による比較研究、特に、日本での研究蓄積のあるナチズムの人種主義政策や現代のレイシズムとの比較研究がしやすいように、重要な資料の日本語訳を付けている。イタリア・ファシズムの反ユダヤ主義・人種主義の実証的な研究は日本では初めてであり、この研究は注目を集めている。 北部同盟のレイシズムに関しても、研究文献の整理と分析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イタリア・ファシズムの人種主義・反ユダヤ主義政策に関する主要な研究文献はほぼ収集した。それらを読み始め、整理・分析しつつ、『龍谷法学』に研究成果の発表を開始した。そこでは、これまでの研究文献を整理して、1938年の反ユダヤ主義政策の開始期の政策内容とその特徴を整理・分析した。 北部同盟のレイシズムや現代ヨーロッパ右翼のポピュリズム・外国人排除のゼノフォビアに関する主要な研究文献の収集を行った。それらの研究文献と資料の整理と分析も始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、ファシズムの人種主義政策のイデオローグであるT. Interlandiが主宰した雑誌" La Difeza della Razza"の論文や" L'Impero"の論文の収集、公文書資料館や国立図書館において、ファシズム体制の人種主義政策の形成過程と実施の実態の一次資料の収集を行う。そして、平成23年度の研究を踏まえ、ファシズムの人種主義政策の全容の把握を目指す。その過程で必要となった研究文献の補充的収集を行う。 北部同盟のレイシズム、現代ヨーロッパの右翼政党のレイシズム・ゼノフォビアの研究文献を整理し、その特徴と問題点を明らかにする。また、平成23年度に資料を収集したブレシアやミラノ、トレヴィゾなどにおける北部同盟の政策と外国人・移民問題の軋轢や市民団体の活動の実態調査をヒヤリングなどを通じて進める。そのために、G.Ruzza氏やS.Fella氏など実情分析をしている研究者と連絡をとり、その助言を受けて、政治家や活動家、市・県、CaritasやLunariaなどの人権・市民団体と連絡をとり、聞き取りを行う。 それらの調査と既存の研究の分析・整理を通じて、北部同盟のレイシズムの特徴の整理と分析を行う。その過程で必要となった研究文献・資料の追加的収集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に収集した資料や文献の分析を通じて、補充や追加が必要となった資料や研究文献の収集を行うために、物品費に25万円を予定している。 2012年の夏休みあるいは2013年の春休みに現地調査を計画しており、そのための旅費に35万円、その際の情報提供者への謝金および資料整理のためのアルバイトの謝金として7万円を予定している。
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