2013 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代の新しいレイシズム:ファシズムと北部同盟の比較研究
Project/Area Number |
23530176
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
高橋 進 龍谷大学, 法学部, 教授 (30136577)
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Keywords | 新しいレイシズム / 北部同盟 / ファシズム / ポピュリズム / 排外主義 |
Research Abstract |
本研究は、イタリアの北部同盟を分析対象に、グローバル化時代の新右翼政党の思想・言動における「新しいレイシズム」とファシズム期のレイシズムとの歴史的・理論的研究を通じて、新しいレイシズムの特質を解明し、レイシズム理論や現代デモクラシー理論の発展、レイシズムやゼノフォビアの克服の探求への貢献を目指した。 平成25年度は主に以下の点について研究を進めた。イタリア政治におけるポピュリズムの拡散と深化の下で北部同盟のレイシズムは変容をしてきた。1990年代の地域主義の要求は、2000年代に憲法改正による州の地方自治権の拡大によってかなり実現したことにより、北部同盟の存在理由が弱まった。それゆえ、独自性をレイシズムに求めることになり、逆に支持基盤が狭め、ベルルスコーニ依存を強めた。その結果、原発についての国民投票に関して地域や国民の意識とのずれを深めた。イタリア政治全体のポピュリズム化と政党の溶解は深刻であり、デモクラシーの不安定性は続いている。 1930年代のファシズムの人種主義には、反ユダヤ主義とアフリカ人・アラブ人への蔑視と抑圧が併存していた。アフリカ人・アラブ人への蔑視と抑圧はすさまじく、住民虐殺、人種隔離、植民地人のイタリア本国への入国の原則禁止等の政策を進めた。この政策ではファシスト指導者は一致し、イタリア国民も「陽の当たる場所」=植民地拡大と現地住民の劣等民族視を当然とした。このように、新しいレイシズムとファシズムのレイシズムの質的な連続性が明らかになった。
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