2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530177
|
Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
松本 充豊 天理大学, 国際学部, 教授 (00335415)
|
Keywords | 台湾 / 執政制度 / 半大統領制 / 政党組織 / 政党 / 国民党 / 民進党 |
Research Abstract |
本研究は、執政制度の違いが政党のあり方や行動に及ぼす影響に注目して、台湾の民主政治における政党組織とその行動の変容について考察するものである。本年度は、民主化後の執政制度(半大統領制)が二大政党(国民党・民進党)に与えた影響を考察したが、とくに2度の政権交代(2000年、2008年)を経験する中での二大政党の組織と行動の変化を分析し、「首相・大統領制型」の半大統領制における政党の「大統領制化」について検討した。 その結果明らかにされたのは、第1に、政権の奪取(奪回)が各政党で「大統領制化」の動きが確認される契機となったことである。陳水扁総統(大統領)も馬英九総統も就任当初は意識的に与党と距離を置いたが、いずれも与党(および所属議員)との摩擦や対立に悩まされ、その解決策として与党党首の兼任を決断した。そして、両党では程度の差はあれ、総統のリーダーシップ強化に向けた制度化の試みが見られた。ただし、陳水扁総統は民進党で初の総統としての権威を利用した与党統制を志向したため、同党での制度化は中途半端なものにとどまったが、国民党では馬英九総統のもとで制度化が相対的に進展した。なお、総統による与党党首の兼任は、憲法に規定された総統の行政院長(首相)に対する任命権と相まって、「首相・大統領制型」として制度設計された半大統領制の「大統領・議院内閣制型」としての運用を可能にしていることも示された。第2に、そうした制度化が総統による与党統制を必ずしも実現しているとはいえないことである。各党で野党時代に導入された世論調査を柱とする公認制度に加え、選挙制度改革の結果、小選挙区比例代表並立制がむしろ党首である総統の所属議員に対する統制力を低下させている。これは現在政権党である国民党で顕著に見られる現象ではあるが、今後民進党が政権を担当した際にも同様の事態が起こり得ることを示唆するものである。
|
Research Products
(7 results)