2011 Fiscal Year Research-status Report
集団防衛同盟の成立要件-米国同盟システムの比較分析
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23530190
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
西田 竜也 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (80589028)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 同盟 |
Research Abstract |
平成23年度は基礎段階として、1)1948年から1950年にかけての北大西洋条約の調印とWestern Unionの発展プロセス、2)1950年から1954年にかけての西独の再軍備、NATOの軍事機構化及び欧州防衛共同体(EDC)の発展経過、そして3)1954年後半におけるEDCの挫折、NATOの強化と西欧同盟(WEU)成立の経緯、そして4)SEATO成立の経緯や西太平洋条約について、事実関係を明らかにすることを目的として調査を行った。 まず、NATO及びハブ・アンド・スポークス・システムの発展経緯に関する歴史学、政治学特に国際関係理論の文献、各国政府公刊の外交・軍事文書、政策決定者の回顧録を収集した上で、読解、整理した。 また、外務省の外交史料館において、1950年から54年にかけての日本の同盟および安全保障政策についても、外交文書の調査を実施した。 その上で、米国と豪州で外交・軍事文書(米国で3週間、豪州で6週間)のアーカイブ調査を実施した。米国のアーカイブ調査では、メリーランド州の米国国立公文書館での調査を重点とし、1949年から1954年にかけてのNATOに関する米国政府及び軍部内の意思決定プロセス、アジア太平洋地域における太平洋条約、日米同盟、ANZUS、SEATO、西太平洋条約に関する米国軍部の政策決定プロセスにつき資料を収集した。 豪州では、特にメンジース(Robert Gordon Menzies)政権時代の首相府文書、閣議文書、その他外交・防衛文書を豪州国立公文書館で収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施において多少の変更は見られたものの、研究は当初の計画通り進んでおり、また、今のところ目立った困難は見られていないことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、まず平成23年度に収集した資料やデータの整理と分析を進めることが最も重要である。 その上で、平成24年度は、英国での現地調査を行う。具体的には、1)Western Unionでの同盟国による軍事機構化とその挫折への英国の関与の度合、2)EDCに対する英国の立場と政策、そして3)1954年のWEU設立とNATOの強化に英国が果たした役割を中心に、英国国立公文書館(British National Archives)にある外務省と首相府の公文書、閣議文書及び統合参謀本部文書を中心に収集する。 また、平成23年度に行った米国での現地調査が完全には終了していないことから、可能であれば、補助的な現地調査を米国国立公文書館で行いたいと考える。 そして、英国及び米国での現地調査での結果を踏まえ、収集した資料及びデータの整理と分析を引き続き行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、次年度に使用する予定の研究費が生じたが、これは急遽予定より長い期間豪州での研究を実施することになったことに伴い、この期間に当初行う予定であった収集した資料とデータの整理・分析を次年度に繰り越したたためである。以上のように若干の変更はあったものの、現在、収集資料とデータの整理・分析を順調に進めることができていることから、特に大きな問題は生じていない。 平成24年度は、2回の現地調査(米国および英国)を実施する予定し、また、その後は収集資料とデータの整理・分析を行う予定であり、研究費はこれら活動に充てる予定である。 また、資料の整理・分析を行う上で、若干の機材および消耗品が必要となっており、購入を予定している。
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