2012 Fiscal Year Research-status Report
集団防衛同盟の成立要件-米国同盟システムの比較分析
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23530190
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
西田 竜也 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (80589028)
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Keywords | 国際情報交換(米国) |
Research Abstract |
平成24年度は、当初8月-9月と2月-3月に、米国と豪州の国立公文書館を中心に、外交・軍事文書(米国で3週間、豪州で2週間)の調査を行うことを予定していた。 しかし、豪州の国立公文書館での調査については、前年度別途資金を得て3月に1ヵ月半近くにわたり、集中的に調査を行うことができた。 したがって本研究では本年度、米国国立公文書館での調査を集中的に行うこととした。具体的には、まず9月に1949年から1954年にかけてのNATO、Western Union、欧州防衛共同体(EDC)、西欧同盟(WEU)に関する米国政府及び軍部内の意思決定プロセスを明らかにするため、米国統合参謀本部の軍事文書ファイルであるRG218の文書を包括的に調査し、文書を収集した。 次に、3月には、同じく米国国立公文書館でアジア太平洋地域における太平洋条約、日米同盟、ANZUS、SEATO、西太平洋条約に関する米国軍部の政策決定経緯を明らかにすることを目的として、同じくRG218の文書を集中的に調査し、文書を収集した。 以上の調査結果と収集した文書をもとに、特に、Western UnionやEDCにおける集団防衛同盟の試みは挫折したにもかかわらず、NATOが集団防衛同盟として転換し得た要因や、西太平洋条約をアイゼンハワー政権が、再び集団防衛同盟を検討することとした要因につき分析するために必要な資料を収集することができた。現在、これら収集した資料の分析を進めるとともに、調査結果をまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、9月と3月にそれぞれ2週間程度、米国国立公文書館での調査を行うことができた。 他方で、収集した資料が当初の想定以上に膨大なものとなったことから、収集文書の分析については、当初の予定より若干遅れている。 しかし、この遅れについては今後、リサーチアシスタント等を傭上し支援を得ることで、挽回するつもりであり、特に大きな問題にはならないと考えている。 したがって、現在のところ本研究の進捗としては、おおむね順調に推移していると結論できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、まず平成23年度に収集した資料やデータの整理と分析を進めることが最も重要である。 平成24年度には米国での現地調査を行ったことから、本年度は英国での現地調査を行う予定である。具体的には、1)Western Unionでの同盟国による軍事機構化とその挫折への 英国の関与の度合、2)EDCに対する英国の立場と政策、そして3)1954年のWEU設立とNATOの強化に英国が果たした役割を中心に、英国国立公文書館(British National Archives)にある外務省と首相府の公文書、閣議文書及び統合参謀本部文書を中心に収集する。英国での現地調査は平成22年度に一度行っていることから、まずは今後さらに調査が必要な部分を明らかにすることとしたい。 また、本年度は、東京の外交史料館において、日本の東南アジア条約機構(SEATO)の調査研究についても実施する予定である。 そして、以上の現地調査での結果を踏まえ、収集した資料及びデータの整理と分析を引き続き行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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