2012 Fiscal Year Research-status Report
蘭領東インドおよび英領マラヤにおける日本人の法的地位に関する比較研究
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23530191
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
吉田 信 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (60314457)
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Keywords | 植民地 / オランダ領東インド / 日本人法 / 市民権 / 国籍 / 英領マラヤ / 帝国 / 植民地法制 |
Research Abstract |
平成24年度は国内及び国外における調査研究を進めることができた.国内においては京都大学をはじめとする各研究機関に所蔵された植民地期のオランダ領東インド及び英領マラヤの法制資料を調査した.研究課題を解明するための直接的な資料は入手できていないが,法制度に関連する資料については有益な資料を入手することができた.平成25年度も調査を継続していく予定である. 国外ではオランダでの調査活動を実施した.ライデンに滞在し,同地の王立言語地誌民族研究所並びにライデン大学法学部図書館において資料調査を実施した.また,ハーグの王立文書館も適宜訪問することができた.これらの研究機関における所蔵資料を調査することにより,次のような資料を入手することができた.(1)日本人の法的地位に関する新たな資料.日本人の法的地位を商業活動との関連において分析した資料を入手した.(2)婚姻法制に関する資料.現地住民との接触を考察する上で,婚姻法制を把握しておく必要があり,関連する資料を入手した.(3)英領植民地における法制度をオランダ側で分析した資料.この種の資料は,植民地法制の比較を進める上で示唆に富む論述が含まれており,今年度も重点的に調査することを検討している. 以上の調査活動を実施することにより,平成24年度の研究としては相応の実績を達成することができたものと考えている.植民地法制の調査を進める過程では,オランダ憲法に関する調査研究が必要となり,結果としてその翻訳及び解説を公表することができたことは,24年度における重要な研究の成果といえよう.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,当該研究に関連するいくつかの成果を公表することができた.論稿を2本並びに学会,シンポジウムにおける報告を二つ実施した. 論稿の第一は,植民地責任をめぐる動向を整理した論文であり,調査研究の過程で得た資料を一部整理した結果としてまとめあげたものである.第二に,オランダ憲法の翻訳及び解説を執筆,公表することができた.植民地法制と憲法との関わりを整理する過程で執筆の機会を得たものである. 学会・シンポジウム報告は,双方ともに英語で行われ,シンポジウムはオランダのライデン大学法学部で開催された植民地法制に関するものである.各国の研究者と情報交換を行い,有益なコメントをいただくことができた. 以上の成果に鑑みると当初の想定以上の業績と判断することも可能であるが,予定していた英国における調査活動がオリンピックと重なり実施を断念したことを考慮し,おおむね順調に進展していると自己評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究課題の最終年度となる.そのため,これまでに収集した資料の解析を進めると共に,試論的報告の機会を得たい.研究課題の一部に係る論稿をまとめることができれば,達成度もあがるものと期待している. 本年度実施する調査研究の概要としては,引き続き国内外での資料収集がある.国内における資料の収集先に変更はない.国外の資料収集先としては,英領マラヤにおける法制史料の収集のため,英国での調査を実施したい.また,例年通りオランダでの調査活動も実施する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使途としては,出張費が主な費目となる.資料の整理を進める必要から,若干の人件費が発生する可能性もある.
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Research Products
(5 results)