2012 Fiscal Year Research-status Report
人の越境移動管理を目的とするEU外交とグローバル秩序形成との関連についての研究
Project/Area Number |
23530192
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岡部 みどり 上智大学, 法学部, 准教授 (80453603)
|
Keywords | 国際研究者交流、ベルギー / 国際研究者交流、オランダ / 国際研究者交流、イギリス / 国際研究者交流、ドイツ / 国際研究者交流、フランス / 国際研究者交流、イタリア / 国際研究者交流、スペイン / 国際情報交換、米国 |
Research Abstract |
平成24年度は、前年の遅れを挽回すべく、特に資料収集とEU(人の移動関連)研究の内外ネットワークの拡充を目的とした。結果、予想を上回るほどの成果を達成した。まず、ベルギー他出張の際、欧州連合対外関係庁(EAS)、欧州近隣政策調整部局より、EU近隣諸国との出入国管理協調枠組み設置を目的としたEU外交(通称「モビリティ・パートナーシップ」)についての情報を入手した。また、国際的なNGOであるMigration Policy Institute (本部ワシントンD.C.)の欧州事務所の新設に伴い、同事務所長Elizabeth Collett氏と会談、これを機に移民研究ネットワークへの参加が可能になった。また、英オックスフォード大学国際移民研究所(IMI)を訪問し、同大学発行の学術誌"Migration Studies"の編集長であるDr. Alan Gamlan氏と面会し、将来的な連携にこぎつけた。労働分野との関わりにおいては、新潟県立大学専任講師の鈴木均氏に国際社会史史料館(在アムステルダム)における資料収集を依頼し、主に欧州労働組合連合(ETUC)関連の情報提供を受けた。 二度目の欧州出張においては、在フィレンツェ欧州大学院(European University Institute: EUI)を訪れ、同内の移民政策研究所(Migration Policy Institute)所員と将来的な研究協力の可能性について合意した。これを受けて、早速本(平成25)年4月より、同所長Philippe Fargues教授からの委託を受け、1年間のスパンでEUIと共同研究プロジェクトを立ち上げた。 なお、出張の成果は、6月30日慶應EU研究会での報告(学会発表①)、10月6日東京大学国際関係論研究会での報告(学会発表②)において表した。本年度はこれを執筆の形で成果物とすることを目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初よりの研究テーマである「人の移動をアジェンダとするEU外交」について、平成24年度は質量ともに予想を上回る資料を入手できた。これは、欧州連合各機関(特に欧州委員会、閣僚理事会)の職員、研究者間ネットワーク(特にEUI、オックスフォード大学、パリ政治学院、リエージュ大学など)、NGO等関係者(ETUC、MPI, 欧州難民亡命者カウンシル(ECRE)等)の協力があったおかげである。特にEUIについては、今年度中の連携が難しいとしていた予想を大きく裏切り、実質的な共同研究プロジェクトの発足にまでこぎつけたのは今までにない大きな成果である。また、MPIが欧州事務所を新設したことでワシントンDCに出向く必要がなくなり旅費等の経費削減につながったこと、その分資料収集を効率的に行うことができ、次年度以降の事業内容に経費を計上する余裕が生まれたことも研究の進行に役立った。 なお、間接的には、在ベルギーEU日本政府代表部、在独日本大使館の大使や同書記官、厚生労働省、経済産業省、法務省入国管理局の事務官の方々の多大な協力があったことも大きく寄与している。彼らの支援のおかげでEUや加盟国の出入国管理行政についての動向を聴取できただけでなく、日本の政策立案の将来的な可能性について、官学連携の道筋を作ることができたからである。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成25年度は、研究の集大成として、自身の研究報告、論文(著書)作成のほかに、国内におけるシンポジウムを開催する。まず、自身の研究報告に関しては、5月18―19日にマカオで開催されるEU Studies Association Asia Pacific研究大会において、ASEM会議における人の移動関連協議の分析について報告をすることが決まっている(選考の末報告が決定した)。本年度はこれを経た英文論文のジャーナルへ(1本)、日本語での論文(1本)の投稿を目標とする。また、本年度中の脱稿を目途に、単著の執筆を開始する。 さらに、12月中旬に、人の越境移動(特に高度技能保持者、技術移民)や「法人の移動」(直接投資などの経済活動)と地域統合との関わりについてのシンポジウムを開催する。代表者の勤務先である上智大学での開催を予定しており(本学100周年記念「ソフィア・シンポジウム」として開催する)、既に会場を確保した。また、主たる論客のうち、国際関係論のアプローチに基づく人の越境移動研究の第一人者で世界的な権威であるSouthern Methodist大学のJames F. Hollifield教授(Ora Nixon Arnold Professor of International Political Economy)と、以前より定期的に会合している情報提供者である欧州連合閣僚理事会General Secretariatのパオロ・マルティノ・コッス氏から参加の意思をいただいている。また、国際移住機構(IOM)駐日事務所などの国際機関や、経済産業省、厚生労働省、外務省、法務省(入国管理局)など関係省庁からの後援を取り付けるべく動いている。現時点ではほぼすべての省庁からの後援をいただける見込みである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の多くは同年12月開催のシンポジウムにあてられる。海外からの招聘用費用(現時点では1名分)、通訳代、事前広報などのために利用するつもりである。また、自身の研究のためとしては、マカオで開かれる学会への渡航費、論文作成のための国内における情報収集、特に英文論文作成の際のリバイズのための費用、その他単著執筆のために必要な情報収集のための費用を計上する予定である。なお、資金面での余裕が生じるようであれば、あと1回程度海外へ(ヨーロッパの予定)資料収集に出向くことも検討している。また、デスクトップパソコンの老朽化のため新規に一台購入することも考慮している。
|
Research Products
(6 results)