2012 Fiscal Year Research-status Report
域外国のASEAN関与とアジア地域主義の運用規範の変容
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23530193
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大庭 三枝 東京理科大学, 工学部, 准教授 (70313210)
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Keywords | ASEAN / 東アジア / 地域主義 / 国際規範 / アジア太平洋 / 東南アジア / 日本 / アメリカ |
Research Abstract |
近年、日本、中国、韓国等ASEANの主な域外国がASEANとの関係を強める観点から、ジャカルタに常駐代表部を置くようになってきている。日本は2010年、中国及び韓国は2012年にそれぞれ設置した。よって今年度は、ジャカルタに行き、日本政府のASEAN常駐代表部、及び中華人民共和国政府ASEAN代表部にインタビューを行い、両国のASEANへの関与の状況、実態についての調査を行った。常駐代表部を置くことにより、ASEANとこれら域外国との連絡は密になっていること、またASEAN各国のジャカルタへのASEAN常駐代表との横の連携関係は強化されていることが確認された。他方、域外国同士の横の連携はほとんどなされていないことも確認した。よって、現在、ジャカルタにおいては、ASEANを中心とするハブ・アンド・スポークのネットワークの強化は見られるが、域外国が連携してASEANに協力を行うという仕組みは弱い、よってASEANへの域外諸国からの関与は、域外国それぞれ個々に行われているという暫定的結論を得た。 また、近年、ASEAN及び東アジア地域主義の研究書は英文で数多く刊行されている。よって今年度も先行研究の収集を行い、データベース構築に努めた。文献によっては、電子化され廉価かつ敏速に入手できたことから、電子書籍も多数購入した。 ASEAN設立時の域外国の関与の中でも特にアメリカの関与を改めて検証する資料を求めて、スタンフォード大学フーバー研究所で、ASEAN設立当時の在インドネシア米国大使Marshall Greenの文書を探索した。その結果、アメリカがASEAN設立時には直接的な関与を少なくとも表向きにはなるべく抑制していたことを改めて確認したものの、もう少し資料の探索が必要であるという結論に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画初年度である平成23年度、学外の兼職に関して、不測の事態により、当初の予定よりも多忙を極め、当該プロジェクトへの関与のエフォートを下げざるを得なかった。よって、初年度の研究進捗が遅れた。しかしながら、平成24年度はその遅れを取り戻すべく、努力をし、なんとか初年度で生じた遅れ以上の研究の遅延を避けることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、ASEANの規範変容に関して、特に日本やアメリカ、オーストラリアといった先進国の関与のみに焦点を当てる予定であったが、本テーマに関しては、先進国のみならず、中国や韓国の動きを考慮に入れる必要があることを再認識し、調査の射程を少し広げた。また、そもそものASEANの地域主義に関する運用規範である"ASEAN Way”形成の出発点には、アメリカの関与の影響を再検証する必要があるとも考え、時代をさかのぼった調査も行った。その上で、今後は当初から重視していたアメリカ、オーストラリア、日本といった先進国のASEANへの関与について本格的調査を進めると共に、研究の取りまとめについても準備を進める。具体的には、ワシントンDC、キャンベラ等で政府関係者や政策決定に影響のある研究者等のインタビュー作業を進めるほか、一次資料の収集に務める。また、ASEAN研究は特に進捗が早い分野でもあり、文献の収集と調査も引き続き行う。研究の取りまとめに関しては、アジア政経学会、東南アジア学会といった国内の学会での発表準備と共に、Association of Asian Studeisなど海外の学会での発表準備も進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、アメリカ(ワシントンDC)、オーストラリア(キャンベラ、シドニー)、インドネシア(ジャカルタ)へ出張し、政府関係者や政策決定に影響のある研究者等のインタビュー作業を進めるほか、一次資料の収集に務める。 また、文献の収集と調査も引き続き行う。 さらに、研究の取りまとめに関しては、アジア政経学会、東南アジア学会といった国内の学会での発表準備と共に、Association of Asian Studeisなど海外の学会での発表準備も進める。
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