2013 Fiscal Year Research-status Report
域外国のASEAN関与とアジア地域主義の運用規範の変容
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23530193
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大庭 三枝 東京理科大学, 工学部, 教授 (70313210)
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Keywords | ASEAN / 規範変容 / 地域主義 / 中国 / 日本 / EU諸国 / アメリカ |
Research Abstract |
平成25年度は、昨年度に引き続き、ASEANの規範変容に関する既存研究や一次資料の収集と整理に努めた。その際、高度なアカデミック・トレーニングを受けたRAを一名雇い、作業の補助を担当させた。 ASEANにおける規範変容、特に内政不干渉原則の見直しと、人権・法の支配・民主化の導入という主要な事柄について、当初の研究計画で焦点を当てていた日本、アメリカ、EU諸国、オーストラリアといった先進国からの関与と支援による影響とと共に、中国からの影響も視野に入れるべきであるという観点から、視野を中国の対ASEAN政策の展開にまで広げて調査を行うことも昨年度までの調査に引き続いて行われた。中国の影響は、内政不干渉原則の堅持、人権・法の支配・民主化について「柔軟」な対応を取ると言った、いわばA「伝統的なASEAN」を維持するという方向をより促す作用を持っている。 また、EU諸国に関する調査の前段階として、EUを専門とする研究者との意見交換を行い、聞き取り調査の進め方に関する貴重な助言を得た。さらに、ASEANと中国との経済的関係は、中国のASEANへの政治的および規範の側面での影響を補完する役割を果たしており、国際経済の専門家との意見交換を行うことでその点についての貴重な示唆を得た。 本研究の成果の一部を含む研究成果を、2013年10月に新潟で開催された日本国際政治学会大会において発表を行った。さらに、本研究の成果の一部を反映させた英語および日本語での論考を数本発表し、研究成果の周知に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画初年度である平成23年度、学外の兼職に関して、不測の事態により、当初の予定よりも多忙を極め、当該プロジェクトへの関与のエフォートを下げざるを得なかった。よって、初年度の研究進捗が遅れたため、そのまま研究計画の進行がずれ込むこととなった。しかしながら、平成24年度に引き続き、平成25年度は、その遅れを取り戻すための様々な作業を行うことで、初年度で生じた置く礼状の研究の遅延を避けることが出来た。また、まだ一部ではあるが、研究成果の一部を学会発表や論考の発表などで周知することにも努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
実質的な最終年度となった平成26年度は、アメリカ(ワシントンDC)、オーストラリア(キャンベラ・シドニー)およびインドネシア(ジャカルタ)に赴き、政府関係者や政策決定に影響のある研究者等のインタビュー作業および、一次資料の収集に努める。EU本部のブリュッセルは、旅費の関係から訪れるのが困難であるかも知れないが、EUのASEAN関与については、ASEAN事務局のあるジャカルタにおいて関係者にインタビューする予定である。 研究成果は、昨年度に引き続き、国内外の学会や英語/日本語での論考の形で発表を行う予定である。 なお、必要な一次資料および二次文献の収集と整理は引き続き進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述したように、本研究初年度における学外の兼職に関する不測の事態による研究の遅延が生じ、その分一年間研究計画の進捗全体が遅れたため。 使用計画は以下の通りである。(1)一次資料および二次資料の収集と整理に関わる物品費及び謝金支出。(2)ワシントンDC, キャンベラおよびシドニー、ジャカルタへの旅費。(3)研究発表に関わる経費(英語で発表する場合の英文校閲代、学会発表の為の旅費等)。
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Research Products
(8 results)