2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530195
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
有馬 哲夫 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10168023)
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Keywords | アメリカ / ソフトパワー / 広報外交 / プロパガンダ / 情報機関 / 国際関係 |
Research Abstract |
今年度、平成25年度は、5月から 8月まで、米国の公文書館や大学図書館などに所蔵されている公文書や文書についての情報、米国の生存中の放送・通信関係者などについての情報を、関連図書、学術論文、ウェブサイトから、また、学芸員やアーキヴィストへのメールなどによる問い合わせから収集した。 9月から10月にかけて、研究目的の4番目と5番目にあげた「USIA、VOAのニュース報道や日本のメディアへのニュースリリースは、米国の政策や外交とどのように連動していたのか」、「USIA、VOAのニュース報道や日本のメディアへのニュースリリースとCIAの日本の政府高官や有力政治家対する工作がどのように連動していたかをを明らかにするため以下の公文書館、図書館で資料を収集した。 アメリカ第二公文書館(CIA文書、国務省心理戦文書)ハリー・トルーマン大統領図書館、プリンストン大学シーリー・マッド図書館(アレン・ダレス文書、ジョン・フォスター・ダレス文書)ハーヴァード大学ホートン図書館(米対日協議会議長ウィリアム・キャッスル日記)を訪ねて資料を収集し、12月から翌年2月にかけてそれらを整理し、購読し、分析した結果、アイゼンハワーの「アトムズ・フォーピース」政策を日本に浸透させるため、そしてケネディーの「ニューフロンティア計画」への日本の協力的な態度を引き出すために、日本のマスコミへの積極的な工作が行われていたことがわかった。またこのようなソフトパワー、あるいは広報外交を展開するためにUSIAの人員が増大し、各国大使館に駐在する大使館職員のおよそ半分を占めるにいたったことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最近のアメリカの公文書館や大統領図書館などの機関はデジタルカメラの使用を許可している。このため従来に較べてより多くの文書を短時間に収集できるようになった半面、とにかく映像としてとって置こうとするあまり、文書をよく読んだり、読んだうえで、取捨選択するということがおろそかになっている。整理したり分析したりするのを怠りがちなため、事実の把握に終わり、分析までいていない恨みがある。しかし、今年は、資料収集にも力を入れつつ、これまでよりも、分析に力を入れて、USIAをはじめとするアメリカの広報外交機関が各国でどのような活動をし、各国の政治家をどのように動かしたのかについて明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究をまとめ、学会での研究発表、論文発表の準備をしていく。 9月上旬に、 研究目的の6),7)の項目としてあげた6「米国のソフトパワー戦略が日本の世論にどのような影響を与えたか」、「米国のソフトパワー戦略に米国の放送・通信機器メーカー、報道機関、広告代理店、世論調査会社がどう関与していたのか」を明らかにするために以下の公文書館と図書館で資料を収集したい。 アメリカ第二公文書館(国務省の世論バロメター、USIAの世論調査、CIAの世論調査)RCA博物館(RCA関係資料)などによって明らかにするつもりである。 9月中旬―10月には、できればテレビやラジオを米国がどのように外交に使用してきたかを研究しているノースウェスタン大学ジェイムズ・シュウォック助教授、VOA研究ですぐれた著作があるウィンスコンシン大学ジェイムズ・クルグラー助教授に聞き取り調査し、研究交流を行いたい。 11月―平成25年3月 集めた資料、研究交流の成果を踏まえて、学会発表し、論文・報告書を執筆したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
渡米し、スタンフォード大学ハーバート・フーヴァー研究所、ドワイト・アイゼンハワー大統領図書館、アメリカ第二公文書館、カール・ムント記念図書館で資料収集を行い、各図書館のアーキヴィストと学芸員たちに聞き取り調査を行う。あわせて、生存するGHQ関係者(ハウギー、馬場など)に聞き取り調査する。このために予算のほとんどを国外旅費に使用する予定である。 研究期間の最後の年であることに鑑みて、報告書を印刷・製本するための印刷・製本費にも予算を割く予定である。
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Research Products
(2 results)