2014 Fiscal Year Research-status Report
国際社会における規範の伝播 ――ASEANによる西側の規範の「真似採用」
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23530196
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
勝間田 弘 金沢大学, 法学系, 准教授 (40579108)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 国際関係論 / 構成主義 / 東南アジア諸国連合(ASEAN) / 規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度(H26/2014年度)の研究成果は複数あげられる。まず、新しい文献から学んだ知見をいかして、理論的な枠組みを修正できた。社会学の制度論や、社会心理学の実験にもとづく研究成果を援用しながら理論的な枠組みを構成するという、基本的な方針は変わっていない。しかし、細部において複数の修正を加えた。新しい研究論文を精読しながら、理論的な記述を改善していった。 また、各国の研究者との交流を通じて、議論に修正を加えることができた。来日した海外の研究者や、海外の学会に参加した際に交流した研究者たちから、研究に関する有益なアドバイスをもらうことができた。このアドバイスをいかして、帰国後に議論の構成を改善していった。 加えて、マレーシアで有益な情報を入手でき、これが事例研究の強化につながった。マレーシアを訪問した際、クアラルンプールにある戦略国際問題研究所を訪れた。この研究所における研究員との会合や資料室での文献調査が、新しい情報の入手につながった。これにより研究対象としている東南アジア諸国連邦(ASEAN)の理解を、少なからず修正することになった。 以上のように、今年度は複数の要因を背景に、論文の議論を修正・強化できた。しかし、課題も残っている。まず、事例研究の細部を詰めていく必要がある。研究対象となっている1990年代から2000年代にかけて、ASEANの当局者たちは如何なる問題を認識し、どのように対応していったのか。国際社会におけるASEANのステータスをどのように理解し、何を求めて行動したのか。より詳細な検証が不可欠だといえる。 加えて、より根本的な課題として、これまでの遅れを取り戻す必要がある。本務校での教育業務が多忙であったことなどを背景に、当初の計画よりも研究に遅れが生じている。したがって今後は、より有効に時間を管理しながら、迅速に研究を進めていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の通り、今年度(H26/2014年度)は複数の成果を出すことができた。しかし、全体的には研究に遅れが生じている。本務校での職務スケジュールが流動的であったため、事前に計画を立てて長期間にわたり海外へ調査に出掛けるのが難しかった。今後は、より計画的に研究を進めていく必要がある。とくに、計画的に事例研究をすすめ、ASEANの政策を的確に捉えなくてはならない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は複数ある。まず、理論的な枠組みを固める必要がある。社会学の制度論や、社会心理学の実験にもとづく研究成果を参考にしながら、これまで理論的な枠組みの修正を重ねてきたが、そろそろ最終的な着地点を見つけ出す必要があるといえる。 次に、事例研究の完成が不可欠である。ここで重要になるのがデータの整理である。データの扱いに関して、現時点で残っている課題は複数ある。それらを明らかにして、臨機応変に対応することが肝要である。 最後に、原稿の完成を急ぐ必要がある。文献から学んだことや学会発表により得た知見を念頭に置きながら、最終的な研究成果としての原稿を完成させなくてはならない。
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Causes of Carryover |
学務が多忙であり十分に計画を遂行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画的に研究を遂行していく予定である。
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